錬金術師、お化け退治す
うにどん
第1話 師匠から譲り受けた屋敷は幽霊屋敷でした
鬱蒼とした森の中、私は古びた屋敷の前に佇んでいた。
「・・・・・・これが師匠の言ってた屋敷?」
私の名はサラ。錬金術師だ。
と言っても最近、独り立ちしたばかりの新人で錬金ギルドで依頼を受けながら生活を送っている。
今、私が暗い鬱蒼とした森の中にある古びた屋敷の前に居るのは。
――御礼として屋敷を貰ったけど、もう私には住んでる家があるから要らないしまだ工房を持ってない貴方にあげるわ。
突然、そう言われて譲り受けたのだ。
錬金術師は自分の工房を持ってこそ一人前と言われているが、まだまだ新人の私に早いと断ったんだけど、師匠の好意が受け入れられないの? と押し切られた。
それで一応、どんな屋敷なのか見に来たんだけど・・・・・・。
「古いとは聞いてたけど、本当に古いな」
数十年前、その当時では有名だった錬金術師の別荘だったという屋敷で豪邸だったとか、今は一目で解るほどオンボロ屋敷だ。
オンボロと言っても屋根と壁が崩れてないのは幸いかな?
「地下にその錬金術師が使っていた工房があるから見てから帰ろうか」
そんな軽い気持ちで私は屋敷に入った。
ギィーと音を立てながら玄関扉を開ける。
長年、人が居ない屋敷は埃臭く、私は口を押さえ埃が入らないようにしながら入った。
昼間なのに周りの木のせいか日の光が遮られて中は暗い。
思わず顰めっ面になりながら玄関辺りを見渡すけど、暗すぎて何も見えない。明りが必要だ。
「な~んかどんよりして暗いな。念の為、ランプを持ってきて良かった」
扉を閉めたら完全に見えなくなると思い、開けたまま荷物からランプを取り出してて居ると。
――バタン!!
扉が閉まった。
「え!? なんで!? 風なんて吹いてなかったじゃん!!」
突然の事に私は扉を開けようとドアノブをガチャガチャとするけど。
「開かない!? お約束みたいな展開いらないよ!!」
ホラーものによくあるお約束展開に私はビビりながらドアノブを必死に回す。
どんなに回しても開かない扉に私は血の気が引いていくのを感じた。
「う、うそ、でしょ?」
この時、軽い気持ちで地下にある工房を見に行こうと考えた自分を呪った。
「ど、どどどど、どうしよう。まだ納品してない依頼があるのに・・・・・・」
恐怖で自分の命よりも納品してない依頼の事を心配し始めた私はその場に座り込んだ。
するとピチャリと私の首に何かが触れた。
湿った何かが私の首に触れている。
その事に気付いたとき、私は叫ぶことすら出来ず恐怖で固まった。
私に触れた何かは固まっている私に気にすることなく私の顔を覗き込もうとしている。
目を閉じてやり過ごそうとするけど、こっちを見てと私の首に触れている湿ったもの――濡れた髪の毛が首に更に食い込み目を閉じることを許さない。
だから、私は諦めて私の首に巻き付く髪の毛の持ち主と顔を合わせる事に。
「見るな!!!!!!」
顔を見ようとした時、青白い光に照らされた。
一瞬ではあったけれどその光のおかげか首に巻き付いていた髪の毛は解かれ、私は自由の身になると素早くその場を離れるとグシャリと何かが潰される音が聞こえた。
――ああああああ~~~~~~!!!!!!
断末魔が響き渡ると今度は発砲音が聞こえる。
暗くて何が起きてるか解らないけど私は誰かに助けられたのだと理解は出来た。
しばらくしてパッと明るくなると私の目の前には。
「貴方、大丈夫?」
光り輝く小さな宝石を手に持った黒づくめの女性が立っていた。
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