第16話 新たなステータス



「ま、『善悪計君一号』のポイントが減る理由はだいたい把握した。けど女性と話しちゃダメ、近付いちゃダメとか無理ゲーすぎるだろ……」


 ウッドコンガと戦った付近にあったちょうど良い岩に腰掛けると空を見上げてついため息を吐いてしまう。


「…のは良い機能だけどな。俺のステータスも上がって一石二鳥だし」


 「善行」は人助やいいことをする以外にも「魔物を倒す」という行為で「+1」加算される。それも何匹倒しても、同じ魔物でも可。この二週間検証したから確実だ。

 理由はだいたい予想がつく。なんでもこの世界ラクシアは魔物は人の敵であり、その逆で人は魔物の敵だそうだ。なので魔物とは人に害を為す存在とみなし魔物の討伐・駆除は「善行」になる。


「『善悪計君一号』はマイナスが減るどころか増える一方だが俺も一端の冒険者ぐらいにはなれたかねぇ――「ステータス」」


 声に反応してお馴染みの半透明のボードが出現。



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ボールス・エルバンス 29歳 男


L v.:24→38

種族:人種

ジョブ:性技

サブジョブ:戦士


魔力:73→2568

筋力:90→850

防御力:45→469

魔防御力:14→245

素早さ:175→960

運:50


加護:なし


スキル: 剣術lv.2 体術lv.2 身体強化lv.5 氷魔法lv.0(開花してない)性技lv.7 絶倫lv.9 性欲lv.10(MAX) 棍棒術lv.4NEW 繁殖NEW 悪食NEW


ユニークスキル:強奪lv.4


属性:氷・無


状態異常:性○


持ち物:なし


所持金: 35万ベル


 

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 「ステータス」「スキル」「資金」共に二週間前とは比べ物にならないほど変化していた。俺は自分の「ステータス」と睨めっこ。


「…強くはなった。なったけどこれでもコルデーやレイアの方が圧倒的に強いんだよな。この世界狂ってるだろ」


 自分が強くなった実感があっても上には上がそれも身近にいることを知っているのでもっと頑張らなくてはと思うこの頃。

 ちなみに自分の「ステータス」に悲観して嘆いているが自分と同等の「D」ランク冒険者と比べると雲泥の差がある。今のボールスの「ステータス」は「スキル」とジョブを加味しなければ「A」ランク冒険者以上の「ステータス」と実力を持っている。


 他の「D」ランク冒険者の例を上げてみよう。



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一般「D」ランク冒険者


L v.:38

種族:人種

ジョブ:

サブジョブ:


魔力:0〜

筋力:250

防御力:150

魔防御力:50

素早さ:100

運:0〜100


加護:なし


スキル:


ユニークスキル:


属性:無


 

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 このように同じ「D」ランク冒険者の同じレベル帯でも雲泥の差がある。

 もちろんついてるジョブやスキルで大幅に変わるがそれをなきにしても「B」ランク相当の実力は持っている。



 【少し小話】


 ラクシアでは体力が「0」になると誰でも亡くなってしまう。それはその人間の強さが全て「ステータス」に依存しているから。

 魔物も人と変わらず【鑑定】のスキルなど持っていると相手の体力がわかるとか。

 「ステータス」の中では体力の次に魔力が重宝される。極稀に魔力を持たない『魔力なし』と呼ばれる人もいる。ボールスは元々魔力があり【強奪】のスキルで入手可能なのである意味勝ち組。

 コルデー聖女とレイアは元々の才能、ポテンシャルが違うのだ。ボールスが「持たざる者」だとすれば二人は「持つ物」に該当する。



「【氷魔法】を使いたいから魔力を優先して上げたがやっぱり開花しないのな。そもそも『氷の精霊』って何処にいんねん」


 『氷の精霊』について愚痴る。【氷魔法】の開花条件は「魔力1000」と「『氷の精霊』」との信頼度。魔力自体はクリアしているが『氷の精霊』に会える手段が分からず実質開花無効なので途方に暮れてしまう。

 もしかしたらコルデー聖女辺りが「精霊」について手掛かりを知っている可能性もあるが後が怖いので安易に聞けない。

 魔力が異常に上がっている理由の他には【強奪】のスキルの効果と俺が編み出した強制「魔力枯渇」を駆使した結果だ。


「「ステータス」には恵まれたけどスキルに関しては悪意しか感じなかったな。いくら入手が「超小」でもこうなるかね。【棍棒術】は嬉しいが、後二つが…」


 

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   入手スキルorレベル上昇スキル


・棍棒術lv.4

 

 レベルに応じて棍棒の使いやすさが上がる。

 使用スキル:スイング

 ※使用魔力:30

 

 ・スイング


 棍棒を片手に相手に向けてスイングすることで『魔刃マキガ』と呼ばれる魔法の刃を飛ばす。断撃と斬撃の合わせ技。



・繁殖

 

 人間以外の生物、魔物とも繁殖行動可。



・悪食


 食べれるものならなんでも食す。毒でも食べれる。



・身体強化lv.5


  レベルに応じて身体の強化を行う。

 使用スキル:ブースト1段階アインスブースト2段階ツヴァイ

 ※使用魔力:レベルに応じて変化

 ※強化時間:レベルに応じて変化


 ・ブースト2段階ツヴァイ

 

 ブースト1段階アインスよりも強力で自身の身体能力を2段階底上げする。

 ※使用魔力:1000

 ※使用時間:10分

 ※負荷:1分毎に体力「−20」 

  使用後の倦怠感「中」



・強奪lv.4


 レベルに応じてスキル効果変化。

 各ステータス獲得量「1.4倍」

 各スキル獲得値「超小」

 ※任意で「ステータス」の項目を一つ上昇しやすくする。

 ※任意選択:魔力


 

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 自分のふざけたスキルに目を逸らしたくなるが自分のことなので向き合う。


「いやね。【棍棒術】が手に入り【身体強化】と【強奪】のスキルレベルが上がったのは喜ばしいさ。うん。でもね…【繁殖】と【悪食】は絶対にいらないだろ。馬鹿なんじゃないの?」


 向き合おうとしたが「俺を化物にでもするつもりか!」と怒り狂い憤慨中。


 【繁殖】と【悪食】のスキルはゴブリンから哀れなスキル達。よりによってそのスキルかよとは思ったが転生してから一番狩っていた魔物がゴブリンだったので妥当な結果だろうと納得をするしかなかった。


 今一番俺が恐れていることは佐藤歩自分の意思が消えてボールスDQN本人に戻ってしまうことだ。それは何度も考えた。ボールスは体の中にまだいていつか自分の意思そのものが消滅して無くなってしまうのではないか、と。

 【繁殖】【悪食】に加え、【強奪】というスキル。そして――【性技】【絶倫】【性欲】という頭のおかしいスキルのオンパレード。

 コルデーとレイアがルクセリアにいる時点で「ボールス・エルバンス」を止められる人間がいるから安心はしているが最悪なことには変わりはない。


「未だに性○は治らないしお金もそれほど貯まらないから教会にもいけないし。というか俺はこの病気にある仮説を立てている。これ性○じゃなくて――い○きんじゃね?」


 自分の異常なまでの股間の痒さをこの二週間成長する中考えていた。


「ハッキリ言って性○でもい○きんでもどうでもいいがな。それよりも呑気に遊んでないで街に戻るか」


 適当に仮説を立てて適当に締めくくると帰路に立つ。



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