7-6

 春休みの間、私は、又、コウの実家に手伝いにいくことにしていた。今度は、宇都宮の駅までコウのお兄さんが迎えに来てくれていた。家に着いて


「莉子さん お久しぶりです また よろしくお願いします」


「ミミちゃん 少し 大人びた感じがするわね よろしくね」


 作業場には、莉子さんのお友達の妹さんで ますみさんって言う人が居て、クリスマス前から来ているということだった。そして、もう一人 紹介されて、高校の卒業式を終えて、勤めにきているという 舞佳ちゃん。少しポッチャリ気味なのだけど、まだ肌寒いのにジーンの短パンで元気そうな娘だった。


「ミミさん お茶の水なんだってね すごい」と、直ぐに舞佳ちゃんが言ってきたけど


「すごくないんだよ まだ、あんまり学校行けてないんだぁー 今年は、少し違うと思うけどー」


「そうそう この辺でも 大学通えなくてウロウロしてる人いるよ かわいそー」


「そうだよね 私なんて ここで社会勉強できるから 幸せなほうよ」


 そのうち、莉子さんに呼ばれて


「ミミちゃん あのね 私 赤ちゃん出来たの 10月生まれる」


「えっ そうなんですか おめでとうございます お身体大切にしなきゃー」


「えぇ だから 舞佳ちゃんにも来てもらったの よく働くしいい子よ だけど 男の子に愛想ふりまいてるからーぁあ 付き合い激しいみたいなのよ ミミちゃんも 誘われたら気をつけてネ」


「ふ~ん 明るそうなのにネ わッかりました」


 早速、その日の仕事が終わろうかという時、舞佳ちゃんが


「ねぇ ミミちゃん この後、遊びに行こうよ? 男の子が車で迎えに来るんだぁー お披露目したい 可愛いんだものー」


「えー 遠慮しとくわ お母さん達の夕ご飯作んなきゃーなんないの」


「そんなことしてるン?」


「ウン 居候させてもらってるからネ ごめんネ」


 仕事を終えた後、表を見ると品の悪そうな男達が3人、車で舞佳ちゃんを待っていたみたい。じょーだんじゃぁないわよ、あんなのと遊びになんていけないわよと、私は、そっちを見ないようにして、逃げるように母屋に駆け込んで行った。 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る