湖底の女

連喜

第1話 出会い系

 正直に告白すると、俺は20代の頃、出会い系サイトを利用していた。ガラケーしかなかった2000年頃には、20代男性の約3割、20代女性で2割以上がこの手のいかがわしいサイトを利用していた。だから、俺が特別遊んでいたわけではない。


 今はマッチングアプリが流行っているが、そちらの方は利用したことがない。マッチングアプリは身分証を提出するようだが、出会い系サイトは無法地帯で、トラブルも多かったようだ。


 利用し始めたきっかけは、友人が出会い系を利用して、女遊びをしていたからだ。意外といい女がいたとか、女子大生をセフレにしたと自慢していた。そんなに美味しい思いができるならと、俺もやってみたくなった。その頃も今もだが、普段、俺が出会える女は大体似たような感じで、OLさんばかりだった。大卒か短大卒の事務系の人しかいない。なぜか、みな似たような価値観の人たちばかりで、彼氏や旦那は〇〇大卒で〇〇に勤めてるというのが、出会ってすぐ話題に出て来る。女性は結婚で仕事をやめるから、結婚相手で女の価値が決まると思ってる人が多い時代だったかもしれない。出会った瞬間に品定めされているようだった。俺はそういう人たちにうんざりしていた。


 たまには、違う感じの人と会ってみたかった。例えば、お店の店員とか、美容師、看護師、介護士とかだ。ちゃんと働いてるけど、全然出会うことのない職種の人などだ。


 しかし、異業種の人と出会いたいというのは、ただの好奇心で、そういう人と本気で付き合って、結婚なんて風には微塵も考えていなかった。最初はもしかしたら、思いがけない運命の人が・・・と期待していたが、実際喋ってみると、生きて来た環境が違いすぎて話題がかみ合わなかった。結局、現実はこういうものなのだ・・・。相手もそう思ったことだろうと思う。


 俺は外見的な魅力とか、フィジカルな相性を重視して出会いを求めてみた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る