キングスレイト

@AkaseShouma

第1話

コンビニのバイトが終わると母さんから電話が入っていた。

かけ直したら、ばあちゃんが亡くなったらしい

ばあちゃんは施設に入っていてここ10年くらい会ってなかった

後日バイトを休んで葬式に行った

親と会うのも10年ぶりくらいだろうか

だいぶ老けたな。母さんも父さんも。

葬式が終わると親戚の食事会がばあちゃんが住んでた一軒家であって話題のテーマはいつの間にか俺のこれからのことになった

俺は20代をバンドで夢を追っかけずるずると就職もせず35歳まで売れず飛ばず歳を重ねてしまっていた

小さいころから両親共働きで常に1人、暗い性格のせいか友達も出来ず

唯一興味を持てたのが音楽。作る側にまわりたいとギターをはじめた

誰かとなにかをしたくてバンドに加入したが

夢を見ていたバンドも2年前に解散。

今更なにかをはじめる気力もなくずっと続けてたコンビニでアルバイター

お先真っ暗ってやつだ

周りの親戚連中は割と高学歴のやつが多くて心配してだか冷やかしか俺の日頃の事をやたら聞きたがる

聞いては薄ら笑いを浮かべて大変だね〜の繰り返し

嫌な連中だ

結局その日家族会議で決まったのは俺がこの家に残って異品の生理、片付けをすることになった

それが終わったらこの家を取り壊してこの土地を売るらしい

そこまでやったら親戚の建築会社に就職をするって話しになった

どうせやることもないしまあそれでもいいか

明日からコンビニやめること店長に言わなきゃな

ボーっとしながら歩いていると

目の前にトラックが

俺は死んだ。

結局だれからも必要とされなかったな俺の人生。



冒険者と村の武器屋の娘の長男として生まれた俺は今はもう16歳

父親は生まれてすぐ冒険に出て以来戻ってきてないらしい

母親一つで育ったが友達も多く恋人もできて普段は武器屋の手伝いをしながら学校に通っていた

何一つ不満がない生活だ

前世のことは誰にも言ってないし

前世のどうしようもない人生と比べたら俺は今必要とされているし本当に楽しい日々を送っている。

その日は王国騎士団に練習用の木剣を納品しに村を出た

外には魔物がいるが村は王国の領土内にあるためまず襲われることはない

半日かけて月に2回王国に武器を納品しにいくのは俺の役目になっていた

その日もいつも通り村を出て王国に向かった

王国に近づいていくとなにかが焼ける匂いが次第に強くなっていた

嫌な予感がする

王国に着いて目に入ったものは燃やされる建物に住人

蹂躙されたあとだった

魔物の仕業か

怖くなった俺はすぐ村に引き返した

村に着くと村も王国と同じ

蹂躙されたあとだった

あわてて自分の家に戻ると母親が腹を刺されて倒れていた

かすかに息がある

母親に何があったか聞く

魔物の仕業か?

母親はかすかな声で 革命がおきた

それだけ言って生き絶えた。


この世界にはその土地を支配する王国その王国に依存するいくつかの集落

その王国に属さない貧しいものが集まったスラム

帰るところを持たない冒険者達の3つの勢力で成り立っている。

王国は全部で6つ

スラムは3つ

冒険者は無数いるがテンペストと言う絶対的な力を持った冒険者が5人いる。


俺は村を走り回った。

焼けた死体の中を吐きながら探した。

俺が16歳の誕生日にプレゼントしたネックレスがその焼けた死体の一体の首にかかっていた

発狂しながら俺は復習を誓った。


2年かけて俺はいっぱしの冒険者になっていた

各王国の領土から外れた土地に行き魔物の討伐、遺跡の発掘、魔物の肉や価値がありそうなもの冒険者の死体の装備品などを近くの王国に持ち帰り金に変えてその日暮らしを続けていた

最初は武器屋の知識を活かして商売などを始めようかとも思ったが村を襲った連中の情報が欲しかったのとそいつらを根絶やしにする力が欲しくて冒険者の道を選んだ

この世界には魔法なんてものはなく戦いとなると剣や弓、格闘術を使っての戦いとなるので地道な鍛錬が必要だ

冒険者になって2年がたつが滅びた王国についての情報はいっさい獲られてなかった

他の冒険者にも会うことがあったが革命について知ってるものはいなかった

しかしこの2年のうちに2つ王国とその領土はほろぼされていた

この世界に残った王国はあと3つになっていた

いっぱしの冒険者になってはいたがスラムにだけは行けていなかった

その理由としてスラムは部外者の立ち入りを基本的に許していなくて力のないものが一歩立ち入れば即殺されるらしい

冒険者2年目の軽いミッションをこなせるくらいの俺では即殺されるのは目に見えていた

ため近寄る事さえできていなかった

革命を起こしたのはスラムの連中だと思った

しかし腑に落ちないのは王国同士連携が取れているため王国一つが滅ぼされることになったら他の王国が黙っていないはずなのにどの王国も知らぬ顔をしているところだ

そんなある日滞在していた王国で革命軍との戦争をすると言う張り紙が掲示板に張り出されているのを見た

内容は3つの王国を滅ぼしたスラムの革命軍「キングスレイト」がこの王国に宣戦布告をしたらしい

革命軍を率いているのは冒険者の実力者の1人「閃光のファティマ」らしく1ヶ月後に王国に攻め入るとのこと

それに応じて王宮騎士団に加えて冒険者を傭兵として集めるらしい

王宮騎士団の実力はたしかだがこの2年の出来事で騎士団に入りたがる人間が減ったため頭数がいないのだろう

俺はすぐに騎士団のもとに行き入団のテストを受けることになった


テストが始まる前に待機所で俺くらいの歳の冒険者と意気投合した

その男は俺と同じ境遇で自分の村を滅ぼされ冒険者になり情報を集めていたらしい

俺と全く一緒だ

名前を「カイト」と言うらしい

仲良くなるまで時間はかからなかった

テストが始まると王宮騎士団にだけ装備することが許される「重鎧機」(じゅうがいき)と呼ばれる機械仕掛けの鎧を身につけて模擬戦をした

この鎧はかなりの筋力とバランス感を必要とする

そのかわりこれをつけて自由に動くことができれば自身の身体能力の10倍以上の機動力を手にすることができる

正直この装備を身にまとって訓練された王宮騎士団相手に王国3つを滅ぼしたキングスレイトや閃光のファティマの実力は人の力を遥かに超えているのだと思う

テストが始まったが俺もカイトも重鎧機を身につけて動くことが出来なかった

2人とも不合格になった

その後2人で王国の騎士の方に直談判をして雑用でもなんでもすると伝えたが相手にはしてもらえなかった

2人でそのあと話して戦争をする日に戦場にこっそりついていくとにした


それから1週間2人で簡単なミッションをこなしてその日を待った

盛大に兵達を見送るファンファーレと共に城下町はお祭り騒ぎになっていた

王国から兵が出撃をしているのを遠くからあとを追った

実際スラム付近に来るのは初めてだ

スラムは王国から2日歩いてたどり着く森の中にあった

2人とも死ぬならここだと腹に決めていた


スラムの外観は王国に似ていてお城が一つあり城下町の入口に大きな門があった


兵団が門の前に来ると兵の1人が馬を降りて門の前に立った

なにか不思議に感じた

とても向こうは戦争をする雰囲気に見えない


次の瞬間後方にいた馬車から重鎧機を装備した兵士が10人くらい降りてきて門を壊した


そこからは蹂躙が始まった


これ戦争なのか?

奇襲じゃないのか


街に火が放たれた直後

スラムの兵団が出て来てその先頭に閃光のファティマと見受けられる動きの兵士が

重鎧機を着た兵士を2〜3人倒したのだろうか、その直後白い鎧を着た王宮騎士団の団長のような人が一振り

ファティマの首は飛んだ


なんだよこれ

俺とカイトは訳がわからなくなった


そのあとは早かった

全てが火に包まれ王宮騎士団は城へと向かって行った


俺たちはその場から動くことができなかった


カイトは怖がって震えていた


ここにいたら俺たちもどうなるかわからない

早く外に出よう


門をくぐり外に出てすぐ森の中に身を隠した


そのあとすぐに騎士団達が門から出てきた


そのあとなぜか重鎧機を着た味方の兵士を白い鎧の男が何人か殺した

その間重鎧機を着た兵士は抵抗もせず全く動かなかった


そして残った騎士団は元来た道を引き返して行った


なんなんだよこれ

わけわかんねえよ


俺たちは混沌の中にいた

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