いざこざ

 ギルドに戻ってゴブリンの耳を提出する。


 「これの換金をお願いします。」

 「えっ!新人なのにいきなり10個も!」

 

 うん。そうだろう普通子供が大量にゴブリンを倒して来たら驚くだろう。期待していた反応をしてくれてうれしい限りである。


 「ちょっと待ってよ坊主」


 ギルドの奥から厳つい風貌の男が出てくる。


 「俺はここのギルドのマスターだ。お前それ不正だろ。」

 「なんの事だが分かりかねますが?」

 「子供にそんな数のゴブリンが刈れるわけがねぇ。大方ランク上げのために大人に刈ってもらったんだろ。」


 ギルドのおけるランク制度はギルドからの信頼度と実力SからFで表すものであり、これを基準に貴族は傭兵として雇ったり、商人は護衛として雇ったりしている。つまりランクは冒険者にとって非常に重要なものなのだ。


「そんなに実力を疑うなら。模擬戦でもしてみますか?」

「いんやその必要はねぇ、ここで罪を認めないならお前の冒険者資格ははく奪だ。」

「もしかして模擬戦によって自分のこんな子供が強いわけないっていう固定概念が破壊されてしまうのが怖いんですか?」


 ここまで煽ればさすがに乗ってくるだろう。そしたら実力でボコボコにして...


 「俺には体つきを見ればそいつが強いかどうかわかるんだよ!まぁ今回は初犯だから特別に持ってきたゴブリンを半額で買い取ってやるよ。これに懲りたら二度と不正なんかするんじゃねぇぞ。」

 「話にならない。もうここには来ないからな!」


 そう言い放って窓口を立ち去る。


 こいつは本格的にだめだ。魔法がある世界で実力を見ためで判断し、俺を弱いとするの流石に馬鹿が過ぎる。それも俺は同世代の中では圧倒的に筋肉がある方なのにである。


 「なぁ坊主、大丈夫だったか?」

 

 いまのやり取りを聞いていたのか登録の時の冒険者Aが話しかけてくる。そういえばこいつがしっかりとテンプレ遂行してればこんなことにはならなかったんじゃ...


 いや、この人は心配してくれているだけのいい人だ。やつ当たりをしてはいけない。


「え~と。大丈夫ですよ。」

「その様子だとギルドのやつにやられたようだな。冒険者ギルドの連中は冒険者の足元を見てくる。だいたい坊主、その様子だと相当強いだろ?途中で半額でいいとか言って譲歩しだしたのはそれが原因だな。」

「そんなことってあるんですか?」

「残念ながら。」


 これは冒険者ギルドはどうにかしないといけないな。


 そもそも冒険者ギルド自体幾つかの政策を行うときに邪魔だったんだ。


 しかし冒険者ギルドに介入を働くのはかなり難しい。それは冒険者ギルドが同業組合ギルドとは名ばかりで実態は王家の傘下組織であるというところにある。


 冒険者ギルドは王家が各地に支部を置き、その支部に対してそれぞれの領主が寄付金という代わりにお金を払うという形で成り立っている。


 つまり冒険者ギルドを攻撃することはそのまま王家を攻撃することを意味するのだ。


 そういえばこれだけは聞いておこう。


 「なんでぼくが強いと思ったんですか。」

 「そりゃぁギルマスと話しあってた時の眼だな。ブリザードやサンダーみたいな天候を操るような上級魔法にもまけない迫力を感じたぜ。」

 「そんなにすごかったんですか?」

 「あぁ、にらみつける様とでも呼んでやろうか?」

 「にらみつける様だけはやめてくださいっ!」

 「おっおう。分かった。」

 「では」 


 こうして俺はギルドを後にした。


 さてこのギルドどうしてやろうか。

ー-------------------------------------

 にらみつける様の下りは入れたかっただけなんだ。本の出来心だったんだ。許してくれ。

 

 ちなみに意味わからないという人は「にらみつけるさん」って調べればわかります。


 あとこの物語では基本的にお金の単位を出さない方針で行こうと思っています。

 

 理由としては主人公が色々と行動するたびにインフレ、デフレが進むことが多いからです。

 

 例えば銀貨1枚=105円だったかと思えば翌年には銀貨1枚=150円になったりする感じですかね。

 

 これを流石に読者についていかせるのは良くないかと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る