まずは魔法を使いたい

 転生してから数秒で確定してしまったことがある。転生したのはやはりというか異世界だった。自分がこうなるまでは異世界転生というか異世界、魔法の存在は信じられない事だった。しかし生まれた時に母と思われる人物の隣にいた人がおもむろに何かを唱え始めたと思ったら、母と思われる人物の体が光始めたのだ。異世界であることを認めざるを得ないのである。


 さて明らかに自分のいる建物が中世程度の建築であるのにも関わらず現代よりもふかふかなベッドに寝かされているが、生後しばらくたった今、今度こそ自分の夢である「自分の伝記が出版されることを」叶えるべく行動を開始すべきだろう。そのためにはやはり魔法である。そう魔法である。別に魔法が使えるからといって興奮しているわけではない。戦国時代に情報戦の重要さに気づいた戦国大名たちが忍者を用いたように、未知の情報を知ることは重要なのである。そう別に魔法が使えるからといって興奮しているわけではないのである。


 しかし正しい魔法の使い方は全くわからない。仕方ないここは先輩転生者達の知恵よくあるテンプレを試すとしよう。まず体の中にあるであろう魔力を探すことにしよう。なんとなく瞑想(実際には寝ながら目をつぶり体の内部に集中しているだけであるため周りからは寝ているだけに見える)をすると何か体の中に違和感を感じる。おそらくこれが魔力であろう。先輩転生者達の知恵よくあるテンプレによるとここから魔力操作によってなんかいい感じにしつつ属性変化させるらしい。全く理解が出来ないがとりあえず


 この魔力を体の外に出す→何らかのイメージをする

 

 といった感じであろうか。早速やってみるとしよう。とりあえず水が出るようなイメージをしながら魔力を動かしてみる。しかし何も変化は起こらない。あきらめずない何度も繰り返している内に急に睡魔が襲ってきて......


*

 どうやら気が付いたら眠ってしまっていたようである。まあ転生者ではあるが赤ちゃんである以上眠るのは仕事。仕方のないことだった。そう仕方のないことだったのである。ベッドがふかふかで抗えなかったわけでは決してないのである。

 


 

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