第196話
炎の蛇の中に取り込まれたアランは熱により苦しそうな声をあげるがそれでもアランの戦意は落ちていない。
何故ならアランの身体に纏う聖光の力が少しずつ上がっているからだ。だが、聖光の力が幾ら上がっても制御は出来ていないようだ。
「うおぉぉおおお!!!!!」
雄叫びをあげると纏う聖光から制御の外れた聖光が爆発するように一気に放出していく。
とぐろを巻きアランを逃がさないようにしている炎の蛇の中、アランの一気に放出された聖光の爆発で炎の蛇は内側から弾け飛ぶ。
試合舞台の上を火と聖光が飛び散る中でアランは長剣を地面に着いて荒く呼吸を繰り返している。
コレン・ダンフォードは自身の周囲に魔法障壁を張り巡らせ飛び散る火や聖光を防いだ。
「これでトドメを刺すわ!」
コレン・ダンフォードは杖で試合舞台の石畳を叩き火魔法を発動した。
聖光の守りが一気に放出したことで弱くなり、呼吸がまだ整っていないアランの足下から火柱が上がった。
「ぐわぁああああ!!!!!!!」
先ほどの炎の蛇と同様にかなりの魔力を込めて発動された火柱はアランの聖光の守りを突破しているように見える。
まさか魔闘気や他の聖の力も使わずに、聖光を使えるアランを倒せるのかと驚いている。
「うおおおお!!!!!」
すると、アランが最後の力を振り絞ったのか、コレン・ダンフォードに向けて聖光の斬撃を飛ばした。
炎の蛇と火柱の二つの火魔法にかなりの魔力を使い消耗したコレン・ダンフォードは、杖を支えにしている状態だった。
そんな状態のコレン・ダンフォードでは、アランの飛ばした聖光の斬撃は、すぐに身体が動けずに回避することは出来ない。
それでもまだ魔力が残っており魔法は使えるのか、コレン・ダンフォードは火魔法を使い、火の勢いと爆発により自身を吹き飛ばすことで回避した。
これにより、聖光の斬撃をコレン・ダンフォードは回避することが出来たが纏っていた魔力も消費して発動した火魔法だった為か、全身のあちらこちらに火傷を負っている。
聖光の斬撃が外れたのを見て悔しそうな顔をしたアランは声を出さずに崩れ落ちるように試合舞台の上に倒れた。
審判員が崩れ落ちたアランに近寄り、アランの状態を確認する。
「アラン選手が気絶していることで第四試合一年生副将戦、勝者コレン・ダンフォード!」
審判員が勝利選手の名前を挙げると闘技場の全体から観客たちの歓声が上がった。
「アル、次は大将戦だ。試合舞台の修復が終わる前に準備するように。」
「はい、分かりました。」
第四試合一年生副将戦の観戦が終わったアルに生徒会副会長のエミリーがそう声を掛けてくる。
確かに試合に熱中してしまい、準備はまだ出来ていなかったアルは急いで皮の鎧を身に着けていく。
身に着け終わると、軽く身体を動かして動きを確かめていく間に試合舞台の修復が終わったのか、闘技場スタッフが第三育成校の控え室に入ってきた。
「次は一年生大将戦が始まります。大将戦に出場するアル選手は私に着いてきてください。」
「じゃあ、行ってきます。」
背後から応援の言葉を掛けられながらアルは闘技場スタッフの後ろを着いて行く。
「聞きたいんですけど、アランやジェイドは大丈夫ですか?」
「あの二人ですね。大丈夫ですよ。今は治療の為に闘技場の医務室に居ます。一応は回復魔法で傷は綺麗に全て治しましたが疲労で動けないそうです。ジェイド選手はもう少しで動けるそうですよ。」
「そうですか。なら、よかったです。」
アランとジェイドの二人が無事なことを確認して安堵しながら試合舞台に続く入り口が見えてきた。
「私の案内はここまでです。大将戦、頑張ってください。」
「頑張ります。」
闘技場スタッフと分かれると、アルは試合舞台に続く入り口を潜って進んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます