第194話
第四試合一年生先鋒戦の試合が審判員の合図で始まると同時にミントは魔力で身体強化をジェイドは闘気で身体強化をする。
お互いに魔力と闘気の違いがあるが身体強化を施すと、ジェイドはミントに走り向かう。
「これでも食らいなさい!」
そんな接近してくるジェイドにミントは叫ぶと風魔法を発動した。
手に持つ杖をミントは横に振るう。振るわれた先から風属性魔力の玉状の魔力が複数作り出されると、ジェイドに向かい放たれる。
十を超える数の玉状の風属性魔力はジェイドに迫る。
「あれくらいならジェイドに当たらないだろうな。」
「そうだな。」
隣で試合を見ているアランの言う通り、ジェイドは迫って来る風魔法の玉を全て回避すると、手のひらに収まる闇属性魔力弾を生成してミントに放つ。
牽制の代わりに放たれた闇属性魔力弾に杖をミントは構えて風属性魔力弾を作り出し続けると放つ。
ミントが最初に放った魔力弾とジェイドの魔力弾同士はぶつかり合うと相殺していく。
そして次々に杖の先から生成され続ける風属性魔力弾がジェイドに放たれる。だが、同時に複数が迫って来る訳では無い為、ジェイドは今のところ簡単に回避しながらミントに接近していく。
「これ以上近寄らせません!」
杖の先を空に向けて振り下ろすと風魔法が発動した。広範囲に風が上から下に向けて吹き荒れる。
闘気の身体強化をしているジェイドでも、いきなりの突風が上から下に押し付けられるように吹き荒れると、押さえ付けられ動きを止められるようだ。
「今なら避けられません!」
そんな押さえ付けられ動きが止まったジェイドにミントは、上から下に風を吹かせる風魔法を維持しながら、片手で風属性魔力弾を生成してジェイドに放つ。
ジェイドは押さえ付けられながらも身体を動かして風属性魔力弾を回避しようとする。だが、間に合わないと短剣を持たない腕を前に出して風属性魔力弾を防ぐ。
「グッ!」
風属性魔力弾が当たったジェイドの腕は、控え室に聞こえたほどのバキッという骨の折れる音が響く。
そしてジェイドが風魔法で押さえ付けられている間、何度もミントが生成した風属性魔力弾を放たれる度に、ジェイドの身体のあちこちから骨の折れる音や肉を打つ音が闘技場内に聞こえる。
だがそれもミントが一つ一つの風属性魔力弾にかなりの魔力を消費して生成しているからジェイドの闘気の守りを突破することが出来ているからなのだろう。
その証拠にジェイドを押さえ付けていた風魔法の維持が出来なくなり、ミントは消耗しているのか、杖を支えに立っているような状態になっている。
一方のジェイドの方も念入りに闘気の密度を上げて防いでいた頭、短剣を持つ右腕移動の為の足を除いた箇所は骨折れて口からも少量だが血を吐いている状態だ。
審判員も一度ジェイドに降参するのかを聞いていたが試合の続行をするとジェイドは言った為、試合はまだ続く。
押し付けていた風が無くなると、ジェイドは動き出した。無事な両足でミントに真っ直ぐに進み、短剣を構える。
そんな迫るジェイドにミントの方も支えにしていた杖を構えて、フラフラと身体を揺らしながらもジェイドに向けて風魔法を発動する。
狙いをキチンと付けられていないミントが放つ風魔法の内、数発はジェイドの横や頭上に外れるコースもあるが直撃コースもキチンとある。
それを闇属性魔力を短剣に纏わせたジェイドが切り払って進んで行く。
ミントの放つ風属性魔力弾に込められた魔力量が試合開始の時の最初に比べると、半分以下になっている為、ジェイドの短剣で切り払いすることが出来ているのだろう。
そうして接近してくるジェイドにミントは自爆覚悟に今現在自身の持っている魔力をほとんど使用して魔法を発動しようとしていた。
けれど、その前にジェイドに接近を許してしまい、腹に短剣の柄頭を入れられ、次にミントの顎に柄頭を入れられるとミントは気絶したのか、試合舞台の上に倒れる。
気絶し倒れているミントの首筋に短剣を突き付けると、第四試合一年生先鋒戦はジェイドの勝利を審判員が宣言して試合は終わった。
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