第192話

 第三試合三年生副将戦が騎士学園が敗北し第四育成校の勝利で終わったことで、どちらの学校も一勝一敗になり、次の大将戦で三年生の勝利も第三試合の勝利も決まる。


 そんな第三試合、最後の試合の大将たちが修復の終えた試合舞台の上に上がっていく。


 騎士学園大将マローネ・ガード。武器に長剣を持ち、防具に盾と全身金属鎧を身に着けて水魔法を使用する女子生徒。


 第四育成校大将パトリシア・ホワイト。武器には杖を持ち、皮の鎧を身に着けて光魔法水魔法、火魔法、風魔法を使用する女子生徒。


 大将同士が試合舞台に上がり、審判員から試合開始の合図が出されると試合が始まる。


 試合開始と同時に騎士学園生徒会長マローネ・ガードが魔闘気を全身に纏うと、第四育成校の生徒会長パトリシア・ホワイトも魔闘気を纏い始めた。


 両大将たちは魔闘気を纏っているがやはりマローネ・ガードの方が魔闘気を扱う練度が高く感じる。


 両大将が魔闘気を纏うと、マローネ・ガードがパトリシア・ホワイトに向かって距離を縮める中、パトリシア・ホワイトは魔闘気を混ぜた魔法攻撃を行なった。


 水魔法、火魔法、風魔法を使用した高温の水蒸気の十メートルを超える塊が試合舞台の頭上に作られると、水蒸気の塊はマローネ・ガードに向かい降りてくる。


 マローネ・ガードも頭上から降りてくる高温の水蒸気の塊は危険だと思ったのか、魔闘気を纏った長剣を空に向けて一閃する。


 長剣から放たれる魔闘気の斬撃が飛び出していくと、水蒸気の塊を切り裂く瞬間、水蒸気の塊が二つに分かれて斬撃を回避すると、マローネ・ガードに向かい加速して降りてきた。


 マローネ・ガードも回避は出来ないと判断したのか、全身を包み込むような水の塊を魔法で作り出すと、纏っていた魔闘気を強化したのか、マローネ・ガードから感じる圧が上がるのを感じた。


 二つに分かれた水蒸気は再び一つに戻るとマローネ・ガードを取り囲むと、身を守る為に使っている水の塊がグツグツと煮立ち始める。


 どんどん水蒸気が圧縮して行き、防ぐだけでは駄目だと気が付いたらのか、マローネ・ガードの全身から魔闘気が外に向かい放たれると、水の塊も水蒸気も吹き飛んでいく。


 そして魔闘気をかなりの量を消耗したマローネ・ガードにパトリシア・ホワイトは、手に持つ杖を向けると杖から眩い閃光が放たれた。


 かなりのスピードで進む光魔法の光線は、纏っていた魔闘気が弱まったマローネ・ガードに直撃するという瞬間に盾の防御が間に合った。


 魔闘気を纏う盾に光魔法の光線が当たる。魔闘気を削って盾を貫通する直前にマローネ・ガードは盾を捨てて回避する。


 盾を捨てたマローネ・ガードは一気にパトリシア・ホワイトに向かい距離を詰める。


 パトリシア・ホワイトは魔法を放ち、移動の妨害を続けながら全身に風魔法を纏い、地面を蹴って軽やかに試合舞台を移動し始め、マローネ・ガードから距離を取り続ける。


 それでもマローネ・ガードの方が移動スピードが速い為、少しずつ距離が縮まっていく。


 その間にも魔法と飛ぶ斬撃の応酬が続ける中で距離を縮めていたマローネ・ガードが足に溜めた魔闘気を使用して一気に距離を縮めてパトリシア・ホワイトに長剣を振るう。


 パトリシア・ホワイトは、驚いていたがそれに反応して、長剣の一撃を魔闘気を纏う杖で防ぐ。だが、防げたのは一瞬で杖は長剣に両断されてしまう。


 そこからの試合は杖を失ったことで若干魔法の発動速度と魔法効果が落ちたパトリシア・ホワイトの魔法を捌きながらマローネ・ガードが一撃を与えた。


 パトリシア・ホワイトは回避をしようとしたが少し遅く左腕を切断されてしまう。


 それでもまだ戦おうとしていたが審判員から試合を止められてしまい、マローネ・ガードの勝利で第三試合三年生大将戦は終わった。

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