第8話
俺も八歳になる年になり自警団の訓練に参加できる年になった
自警団の訓練所に向かうと俺と同じ年の子どもたちも集まっていた。兄のケビンと姉のベルのせいもあるが俺も積極的に関わらないから集まっている子どもたちと交流は石を投げられたりするくらいしかない
そういえば兄のケビンは祝福を貰った時から取り巻きが居なくなり煙たがれる様になった。まあ、俺の事を人殺しだと騒いだりしていたから自業自得だからどうでもいいが
その影響もあり集まっている子供たちからは余り良い目で見られていない様だ
「おいおい。アル、お前って母親殺しの人殺しなんだって!」
集合場所から少し離れていると集まっていた集団の一つからそんな声が掛けられた。その声の方を見ると小太りのニヤニヤと気持ち悪い顔をしながら取り巻きをケビンよりも連れている男の子がやつてきた
確かこの男の子は村長の所の次男で名前はエランだったと思う。無視しているとさらにこちらに近づき怒鳴り声を上げていると自警団の団長がやってきた
「おい!お前らそこで何をしている!」
「あっ、ケレスさん。僕たち友達と遊んでいただけですよ!」
「あん!そうなのか、アル」
「いえ、友達では無いので関係ありません」
「この!人殺し野郎が!」
「おい!俺は村長の子どもだろうが容赦しないぞ!お前らも見ていただけだろう!連帯責任で訓練所を十週だ!走ってこい!」
集合場所から見ていた者たちも何やら巻き込まれた様だ。そいつらからも俺が悪いみたいに睨まれたが自警団団長のケレスが声を上げると訓練所を走り始めた
「アル!お前も言われっぱなしでやり返さないか!」
「いえ、アイツは村長の子どもなのでやり返すと何されるか分かりません。それに面倒な奴には関わりたくありませんから」
「はぁ、そうか。お前も走ってこい!」
「分かりました」
魔法は使わずに走っていく。いつも森での活動や体力作りの修行をしているので先頭近くまで走っていった
「ちっ!お前らのせいで!」
「ほら。グエル、そんな人殺しの噂が立つ様な奴と関わらないで行くぞ」
先頭に着くと先頭を走っていた自警団団長の息子グエルが舌打ちをしながらそんな事を言ってきてその隣を走っていたジェンタークはそう言ってグエルと走るスピードを上げて走っていく
俺も走るスピードを上げて二人を抜くとそのままスピードを落とさずに走って訓練所を十周して自警団団長のケレスの側に歩きながら向かった
「やはりお前が一番早かったな」
「はあ、はあ、はあ、そうですか?」
「お前が良く森に行っているのは気づいていたしな。ダグ爺さんの所に行ったり行商人にシロウサギの毛皮を売っていればさすがに気づくぞ」
やっぱり気付かれるかと思いながら息を整えていく
「そうでしたか」
「やっとバカ息子たちが走り終えたな」
そっちを向くとグエルとジェンタークが走り終えて座り込んでいた。他の子どもたちも疲れて歩いていたり座り込んでいたりして走れてなかった。村長の次男はエランは小太りで最初の方から走る事やめて歩いて息を切らしていた
まあ、普通の子どもならこんなものかと思いながら体力を少しでも回復する様にしていく
「よし!お前ら今日はこの辺で終わりだ!今後訓練の邪魔をする様な事をしたら連帯責任で走らせるからな!三十分休憩してから再開だ!」
それから三十分後に休憩を終えて訓練を再開する。最初は自己紹介を全員してそれぞれに木製の武器を持たせて素振りの仕方を教えていった
それぞれの武器の担当に分かれて訓練をしていく。剣は団長が見る様で俺は素振りを数回するとその後は自己訓練をする様に言われた
そして最後に俺とグエルとの模擬戦をして今日の訓練を終えるらしい
「突きと頭への攻撃は無しだ!分かったな!」
「はい」
「言われなくても分かってるよ!親父!」
「分かっているなら良い!では開始!」
模擬戦が始まるといきなり突っ込んできて剣を振ってきたグエルの攻撃を見切り避けると反撃にグエルの木剣を弾き片手持ちにしてその隙に木剣を持っている腕を木剣で叩き木剣を手放させた
「そこまで!勝者アル!」
手を叩いている者は少なくパチパチとまばらに聞こえてくる
そこからは団長のケレスから模擬戦の評価を聞いたりしながら今日の訓練は終わった。家に帰る途中にグエルとジェンタークと村長の次男から睨まれていたが無視して家に帰った
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