①悪食の喰鬼(クロード)

柚緒駆

第1話 プロット

タイトル:①ないし④ 悪食の喰鬼クロード


【世界観】


 とある街には不思議な都市伝説がある。中央公園の柳の木のうろに、血文字で己の名前を書いた人形を放り込めば、美しい鬼につながるという。その鬼は代償さえ払えば、どこの誰の何であろうと「喰らう」ことができるのだそうな。過去を未来を現在を、消し去りたい者が今日も柳の木にやって来る。しかし、洞に人形があるのを見た者は誰もいない。


※時折小さな笑いを挟みますが、基本シリアス展開です。


※やや官能的な表現はありますが、露骨な性描写はありません。


※人は死にますが、大量殺戮やグロテスク描写はありません。


※現実世界を舞台にした復讐物系のストーリーで、警察の特殊任務班と主人公を狙う謎の組織が絡んできます。


※登場人物個々の深堀よりもアクション中心です。


※チートや俺TUEEE的描写はあまりありませんが、基本主人公は負けません。


※敵対勢力には主人公と同格の怪物がいます。


※人ならざる者が集まる「異界」は出てくるかも知れませんが、いわゆる「異世界」の登場は想定していません。


※主人公の謎が一つ残らずつまびらかにされる展開は想定していません。



【登場人物】


〇主人公:クロード

月光のように美しく儚げな少年。小柄で細身。正体はどんなモノでも喰らえる鬼。

「おいでタマ」

「ダーメ」

「殺しちゃってもよかったのに」

「何が幸せかなんて僕は知らないんで」


〇タマハガネ(タマ)

浅黒い筋骨隆々の巨漢。クロードに従う人食い鬼。怪力、壁抜け、飛行など様々な異能を持つ。記憶のかなりの部分をクロードに喰われている。

「なあ、コイツ食ってもいいか」

「ぶっ殺そうぜ面倒くせえし」



◇モモ

長髪にヘアバンド、上下のデニムでギターケースを担いだ美貌の青年。ギターケースの中には豪剣「草笛丸」を隠し、鬼と鬼に味方する者を斬る。三獣の霊に守護され、様々な幻術を使う。



◆田川誠

私設孤児院の院長を務める、外見は丸眼鏡に少し猫背の平凡な中年男性。実は名もなき異界の暗黒神を奉じる不死身の狂人。鬼の匂いに引き寄せられて次々に殺人を行う。あらゆるモノを失い捨て去っているため肉体以外に喰らう部分はほとんどないが、その肉体も無限に再生する。



四方よもななみ

県警本部長直属の特殊遊撃任務班、通称「墓荒らし」所属の巡査部長。そばかす顔にボサボサ髪でガサツな性格。霊媒体質。二十六歳独身。射撃の腕は確か。

「すんませーん、お邪魔するッス」

「うら! 行けポンコツ先輩!」


▽末永優馬

「墓荒らし」所属の巡査部長。善良なイケメンだが融通の利かない頑固者でもある。ポンコツ先輩。ときどき他人の心が読める、弱いテレパシー能力を持つ。直情径行型。二十八歳独身。


▽松原秀三郎

「墓荒らし」班長の警部補。あだ名はシューマツ。優秀だが冷徹。出世欲は強いらしいが本心は見せないタイプ。三十二歳既婚。

「君たちには失望した」



▲湖東始

地方紙の記者で情報通。クロードの情報源になる。



☆ミズ・ブレイン

謎の組織「ランドリー」のリーダー。クロードを捕獲しようと試みる長身痩躯・年齢不詳の東洋系の美女。黒のワンピースに黒いレースの手袋、黒のブーツ。配下に異能の戦闘部隊セブンシスターズがいる。五賢人の一人、情報の聖徒。

「清浄なる世界のために」


☆セブンシスターズ

ホワイトキャンバス、レッドカード、コバルトブルー、イエローフラッグ、グリーンカーペット、UVR、ピンクサファイアの七人の異能者


☆五賢人

ミズ・ブレイン、クイーン・アイズ、マダム・イアーズ、ジェネラル・ノーズの四人。「ミスター・マウス」が空位となっている。

5は人間を定義する神より与えられた聖なる数。五指、五臓、五感、頭部に集まる五つの器官。政治、経済、情報、軍事、宗教の五方向から世界に影響を与える。

〇クイーン・アイズ:キングダムの支配者。政治の聖徒。配下にロー・オブ・ザ・ストロング、ロー・オブ・ザ・シャドー。

〇マダム・イアーズ:ハウスの主人。経済の聖徒。配下にゴールドリング、シルバーリング、プラチナリング。

〇ジェネラル・ノーズ:フォースの司令官。軍事の聖徒。配下に春、夏、秋、冬。

(〇ミスター・マウス:スクールの長。宗教の聖徒)



【章話構成】


一話3000文字程度、一章1万2000~1万5000文字程度で書ければ。

10章で一区切りの予定。



1章

 主人公紹介編。自分の人生を奪われた女性の依頼でクロードは大企業の社長の記憶を喰らう。そして金を受け取った後、女性の記憶も喰らってしまう。

 しかしその後、女性は自宅で死体となって発見される。現場の壁にはGAMEの文字が書かれた紙が貼り付けられていた。墓荒らしが動きだす。

 一方調査を始めたクロードの前に、謎の組織ランドリーが姿を見せる。



2章

 子供を死に追いやられた夫婦は高名な教育評論家の未来を喰らうよう願う。その願いは果たされるも、夫婦は殺され、壁にはまたGAMEの文字。犯人はランドリーか。しかし霊を降ろした四方ななみはまったく別の存在の犯行に気付く。



3章

 右派と左派の政治家が裏で結託していることに気付いた老婆は、彼らの欲望を喰らいつくすよう願う。

 ランドリーとの戦いの間に老婆は殺され、二人の政治家も殺された。現場に残されたGAMEの文字。

 四方ななみは県警の資料室で昔の連続殺人事件に行き当たる。被害者宅の壁に「にえ」と書かれた一連の事件では資産家の男の犯行が疑われたものの、容疑者の自殺によって迷宮入りしている。男の一人息子は名を変えていた。田川誠という名前に。



4章

 モモ登場編。小さな島の小さな村でモモは養父母に育てられた。彼らが幼いモモに語った言葉。

「桃太郎はな、鬼ヶ島から故郷に戻らなかったんだ」

 難病を患う少年はクロードに、育ての親である田川から負担となる自分の存在を喰らってくれるよう願う。クロードはこの少年を餌に連続殺人犯をおびき出そうとするが、田川の正体に気付かない。窮地に陥るかに見えたとき、モモの登場で危機を脱する。

 ランドリーは田川とモモに接触し、取引を持ち掛ける。クロードを捕らえる手助けをしてくれれば様々な便宜を図ろうと。田川は受け入れ、モモは拒絶した。



5章

 田川には喰らえる部分がない。故に倒す方法は一つだけ。田川が奉じ、彼に不死身性を与えている異界の暗黒神を喰らうこと。だがその神を召喚する方法がわからない。

 そのころ警察は田川の孤児院に捜査の手を伸ばしていたものの、何の手がかりも見つけられずにいた。しかし四方ななみと末永優馬は気付いた。孤児院の子供たちの深層心理に「生贄の印」が刻まれていることに。

 一方モモもまた三獣の霊の導きによって田川の企みに気付く。田川を倒せばクロードを利することになるのは明白だが、迷い悩んだ末にモモは血文字で名前を書き人形を柳の洞に投げ込んだ。



6章

 田川に恭順する心をクロードに喰われた孤児院の子供たちはみな独善に走り、それぞれが暗黒神を呼び出してしまう。抵抗もむなしく暗黒神はクロードに喰らわれ、田川は力を失った。正気を取り戻した田川は警察に出頭し、生き残った子供らは路頭に迷う。苦悩するモモをクロードは笑った。

「誰も踏み台にせずに正しさを追求できるほど、人間は進化した生き物じゃないでしょ」

 この一連の動きを観察していたミズ・ブレインは改めて確信する。世界の清浄化のためにはクロードこそが求められるのだと。



7章

 田川から鬼の存在を聞き出し、四方ななみと末永優馬は中央公園の柳の古木を訪れる。半信半疑で血文字を書いた人形を洞に投げ込めば、クロードが現れる。

 ななみは言う。

「何でも喰らう鬼を喰らってほしい」

 クロードは答えた。

「悪魔じゃないんでトンチでは倒せないかな」

 そこにモモが現れクロードに刃を向けるが、ランドリーのセブンシスターズが邪魔をする。

 セブンシスターズとの激闘でモモは退散し、クロードは招かれる。

「お巡りさん、一緒に行ってみない?」

「へ?」

クロードとななみがランドリー本部に連れて行かれる。



8章

 ランドリーの目的は清浄なる世界。そのためにはまず五賢人を揃え、世界を安定しなくてはならない。五番目の聖徒、ミスター・マウスとしてクロードを迎え入れたいミズ・ブレイン。だがその提案はクロード本人に一蹴される。人間の世界を支配していいのは人間だけであり、人間以外の存在を支配階級に呼び込んだとき、世界は破滅に向かう。それは困るのだと。

 けれどミズ・ブレインは譲らない。人間の叡智には限界があり、驕れば必ず不安定化する。人ならざる者に対する畏怖だけがそれを防ぐのだと。受け入れないのならば力尽くで受け入れさせるのみ、セブンシスターズ全員が揃いミズ・ブレインと共にクロードと対峙するが、力及ばず退けられる。

 彼女らの「崇高な使命感」などという厄介なモノは喰らってしまおうとするクロードだったが、そこに現れたのは対異能装備の特殊部隊と春夏秋冬の四人、そして五賢人の一人ジェネラル・ノーズ。



9章

 絶体絶命かに思えたクロードだったが、タマハガネとモモの乱入で状況は変化する。それでも熱を自由自在に操作する春夏秋冬の四人は恐るべき強敵であり、戦いは一進一退。クロードは喰らった「名もなき暗黒神」を吐き出すことで隙を作り、何とか崩壊するランドリー本部から逃げ出した。

 県警に戻った四方ななみはランドリー本部の強制捜査を上申するが、通らないどころか不正捜査の疑いをかけられ謹慎処分となる。警察だけではなくメディアにも中央政界にも人知れず圧力がかかり異様な空気が世間に流れる中、中央公園の大柳がチェーンソーを持った集団に切り倒された。



10章

 鬼を五賢人に迎え入れようとした責を問われ、ミズ・ブレインは嗅覚と聴覚を封じられると共にランドリーの活動を禁止される。しかし処分の軽さを不服とするジェネラル・ノーズは春夏秋冬を再び送り込んだ。

 月のない夜、中央公園を訪れるミズ・ブレインだったが、当然大柳はない。そのとき、白杖をついた盲目の少女が人形を手に丘を登って行った。少女が何もない空間に人形を差し出せば、空には赤い三日月が輝き大柳が姿を現す。その下にはクロードの姿が。

 そこに急襲する春夏秋冬。クロードは微笑む。

「この間は、ごちそうさま」

 前回の戦いで「ほんの少しだけ」能力を喰われていた春夏秋冬は、クロードとタマハガネに太刀打ちできなくなっていた。

「この子の依頼が先約だからね、悪いけど待っててくれるかな」

 少女の兄はランドリー本部崩壊に巻き込まれて亡くなっていた。「悪いヤツらに鉄槌を」と望む少女の依頼を受け、クロードは春夏秋冬を喰らい尽くす。

 そしてミズ・ブレインにたずねる。

「君はどうする」

 ミズ・ブレインはジェネラル・ノーズとの対決を決意する。


――第一部完結

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