第527話 王家の影の提案

 兄さまたち。


【“なんだ?”】


 失われた大地になったら、リシャーラ王国は各国から孤立するよね?


【“まあ、そうだな?”】


 皇太后さまや、父さまとグリフィス侯爵の気持ちに免じて、国民は許してもいいかな?

 どうしても大地も焼かなきゃ駄目?

 作物がしばらく採れなくなっちゃう。


 前回のエザリス王国の際は、大地を焼かれて作物が採れなくなって、焼け出されて飢えた国民が、他国の援助も得られず、結果、大量に亡くなったと聞いたよ。


【“お前がそうしたいなら、そうするがいいさ。国民ごと罪を問うのは、愚かな王を許してきた国民にも罪があると思うからだ。”


 “アレックスが罪がないと感じるのなら、それでいいんじゃない?”


 “私たちの裁きをずっと止めてきたのに、神罰をくだすことに決めたのは、あの王太子と国王が原因なんでしょう?”】


 うん、国民にそのことを詳らかにしようと思っているんだけどね。

 どうせリシャーラ王国が崩壊したことは、遅かれ早かれ知られることだろうしね。


【“罪ならいつでも問える。今は責任がないと感じるのなら、そうすればいいさ。”】


 わかった、そうするよ。


「マリアンヌ・フォダ・リシャーラ皇太后陛下。おもてを上げてください。」

 マリアンヌ・フォダ・リシャーラ皇太后陛下が顔を上げる。


「あなた方に免じて、国民の罪は問わないものと、神が裁定を下しました。」

「おお……。神よ……。感謝します。」

 皇太后は胸の前で手を握って祈った。


「ただし罰は必要です。リシャーラ王国はフルバティエ王国の属国とし、国王は置かないものとします。しばらくの間は、あなたが国を統治していただけますか?」


 マリアンヌ・フォダ・リシャーラ皇太后陛下はサッと胸に手を当てて、

「仰せのままに。使徒さま。」

 と言った。


 父さまとグリフィス侯爵も、サッと胸に手を当てて、片膝を立ててお辞儀した。

「ですがグリフィス侯爵、あなたのご子息は国外追放とします。よろしいですね?」


「問題ございません。

 グリフィス侯爵家からも追放致します。

 もとより、いなかったものと致します。」


「お父さま……!」

 グリフィス侯爵令息が泣いた。泣きたいのは君じゃなくて、被害者たちのほうだよ。

 それをこれから噛みしめるといいよ。


「使徒さま。……ひとつだけあなたさまに、贅沢なお願いをよろしいでしょうか?」

「なんでしょうか?」

 僕にお願い?なんだろうか。


「わたくしには優秀なひ孫がおります。オフィーリア・オーウェンズと申します。老い先短い我が身、次代の統治をその者に任せていただくことは出来ませんでしょうか?」


 オフィーリア嬢に?まあ、リシャーラ王国の王族の縁戚だしね。悪くはないかも。

 ……いずれ僕と結婚するかも知れないしなあ。ミーニャが画策しているだけに。


 属国の王族と結婚するというのは、別段珍しいことじゃないからね。オフィーリア嬢ならきちんと国をおさめてくれることだろう。


「わかりました、前向きに検討します。」

「ありがたく存じます……!これで先を心配せず死ぬことが出来ます。」


 マリアンヌ・フォダ・リシャーラ皇太后陛下は、心から嬉しそうに目を細めた。

「さあ、お前たち。この痴れ者たちを国外に放り出すのです。神の目に届かぬよう。」


「お、おばあさま……!」

「わたくしにお前のような、たわけたひ孫はおりません。どこへでも行くが良い。」


「どの国に放り出しますか?」

「どこでも構いませぬ。全員バラバラでも、同じ国でも。お前たちの好きになさい。」

「かしこまりました。」


 近衛騎士団がそう言ってお辞儀をすると、

「大人しくしろ!」

「さあ、こっちに来るんだ!」

 捕縛された状態のルーデンス元王太子たちを、謁見の間から引きずり出した。


「アレックスううううう!」

 呪いのような声が聞こえたけど、僕は冷たく彼らを見放した。


「使徒さま。お話がございます。」

 僕の後ろからセクシーな女の人の声が聞こえた。振り返ると誰もいない。


「──我らは王家の影。今までリシャーラ王国に使えていた一族です。あなたさまに、今後についてお話がございます。場所を変えていただけませんでしょうか?」


 リシャーラ王国についていた、王家の影?

 ということは、レンジアの上役の人たちってことかな?レンジアは皇太后陛下についていた王家の影の1人だったからね。


「わかりました。今後についてのお話をしましょう。どちらに向かえばよろしいですか?

 ……この城はもうすぐ崩れると思います。

 僕の国にいらしていただいても?」


「はい、もちろんです。ついていこうとするたび何かに遮られて、行くことが叶いませんでした。ご招待いただければ幸いです。」

 セクシーな声は僕にそう告げた。


────────────────────


以下、最近思った戯言。


斎藤元彦元県知事、返り咲きましたね〜。

案の定大量にマスコミが詰めかけていましたが、その場にいた支援者たちから、マスコミが帰れコールされていたのは笑いました笑


投票率が石丸伸二さんが出馬した東京都知事選程度しか上がらなかったものの、大逆転したのは、かなりの浮動票が動いた、ということでしょうか。

石丸伸二さんの時より人気な気がします。


斎藤さん可哀想、という人が多かったのではと分析している方がいましたが、可哀想というより、正しい人が悪い人に苦しめられている、自分たちもその片棒を担いでしまった、という人が多かったんじゃないかな。


既得権益を守ろうとした政治家たちが、斎藤さんを引きずり下ろそうと、嘘の告発をしたとか、そこからたった1人で街頭に立ち、だんだんと味方が増えていくとか、ドラマですやん。アメリカならさっそく映画かドラマ制作の話題が出るところですよ。ここで乗っからないのが日本のTVという感じ。


立花孝志さんが、政見放送は国がやっているものだから、誰も止める事ができない、というのを逆手にとって、斎藤さんが言いたくても言えなかったことを、すべて言ったというのも大きかったと思いますね。

(都知事選もカオスでしたからね)


自分もですが、今回のことでかなり立花さんの印象が変わったという方も多い筈。

立花さんは国会議員なのに、出馬したことを新聞で取り上げられなくて、不買運動をしたら、ほんとにその新聞の売上が落ちたとか。

オールドメディアにSNSが勝った選挙でもあったのかな。


対立候補を支援した兵庫県の22人の市長(当該地域の現役がそれするの、選挙違反という声もありますが)、今後立花さんが直接立候補して、潰しにかかるみたいですし、他の市にもN党から対立候補を立てることでしょう。どうなるか目が離せないですね。



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