第399話 魔塔への所属要請
ないんだ!なら創生の海で生み出したら、僕が直接育てなくても、自分で隠しスキルに気が付いて、成長出来る英雄も出てくるかもしれないね。
もちろん、戦闘に特化したスキルとは限らないけど、知らずに過ごすより、有用なスキルがたくさんありそうだよね。
固有スキルなんてものもあるし、どうして人間には種族スキルがないんだろうって、ずっと思っていたんだよね。
種族スキルみたいな、本来のスキル以外のスキルがあればいいのになって。
それがあるから、獣人や竜人は人間よりも基本ポテンシャルが高いんだ。
本来英雄になれる可能性のある人がたくさんいるみたいに、人間の為に用意されたスキルだって、あっていいと思うんだよね。
そしてそれが実際あるのなら、隠しスキルを見られるステータススクロールを作って、さっそく叔父さんたちのステータスを確認してもらわなくちゃね!
「──そういえば、スキルで思い出したのですが、エリクソンさんは、以前先代の勇者と共に戦った、賢神であったと伺いました。」
それを聞いたエリクソンさんの目がスッとすわったような感じになる。
「……そうよ。よく知っているわね。」
「まあ有名だからな!」
「だけど直接私に話しをふってくる人は少ないわ。──どうしてそのことを?」
「えと……、単純に当時のことを伺いたいなと思ったんですが、駄目でしょうか?」
なんか、ひょっとしてあんまり触れてはいけない話だったのかな?
だって魔塔にはたくさんの賢者がいるし、聞いてくる人たちだっていた筈だよね。
魔王と戦った英雄の話なんて、直接聞いてみたくない人のほうが、むしろ少ないんじゃないかな?それなのに聞いてこないということは、少なからず配慮があった筈。
「いいえ、構わないわ。新しい魔法が認められた人に、魔塔から祝い酒を差し上げることになっているの。どうせならそれを飲みながら話しましょう。私も少し酔いたいから。」
「あ、はい……。」
そう言って、エリクソンさんがまた、何もない空間からお酒の瓶とグラスを取り出して、テーブルに並べた。
「これは魔塔で作られている、ステータス向上成長効果のある酒よ。もちろん一気に上るわけではないけれど、飲まないよりもステータスが成長しやすくなるわ。」
「そんな貴重なものを……。
ありがとうございます。」
エリクソンさんがついでくれたグラスを受け取りながらお礼を言う。
「魔法が認められたということは、魔塔の仲間入りを果たすということだ。魔法には膨大なMPを使用するからな。仲間が魔法を研究しやすくする為のものでもあるのさ。」
「なるほど……。」
お祝いのお酒かつ、新たな魔塔の賢者を育成する為のものでもあるんだね。
ん?ということは……。
「それって、僕も魔塔の一員に加えていただけるということでしょうか?」
「そうなるわね、おめでとう。」
エリクソンさんが、グラスを軽くかたむけて乾杯の為に待ってくれている。
魔塔に所属するのは、すべての魔法使いの夢のひとつだ。
優れた魔法使いのみが所属出来る、世界中の魔法の専門機関。僕の父さまだって所属はかなわなかった場所だ。
キャベンディッシュ侯爵家にいた頃の、僕の夢のひとつでもある。
「……ありがとうございます!」
僕はグラスを合わせて小さく鳴らした。
「ん〜……。女の子ダイスキ♡」
バウアーさんがめちゃくちゃごきげんに独り言を言いつつ酔いながら、更にグイグイとお酒をあおっている。
「あれ、だいじょうぶなんですか?
かなり飲まれてるみたいですけど……。」
「いいのよ。こういう時でもないと飲めないお酒だもの。私もたくさん飲むわ。」
エリクソンさんは顔色ひとつ変えず、グイグイとグラスの中のお酒を空にする。
「飲める時に飲まないと。あなたもたくさん飲んでおいたほうがいいわよ。」
「あ、ありがとうございます……。」
エリクソンさんが手ずからお酒をついでくれるのを、ありがたくいただく。
「そういえばあなた、20歳年下の女の子と付き合ってるらしいじゃないの。
20歳年上の彼女はどうしたの?」
エリクソンさんが爆弾発言をする。
「20歳年上!?」
「ん〜。別れた。今は20歳年下の子と付き合ってるよぉ。女の子ダイスキ♡」
「20歳年上って、お年寄りですよね?」
バウアーさんはどう見ても、40歳前後だし、20歳年下と付き合ってるなら、その年齢で間違いないと思う。それって親の年齢の人と付き合えるってこと?
「20歳年上もかわいいよね。
女の子ダイスキ♡」
「彼は女性という女性が好きなのよ。
私も彼が別れるたびに口説かれてるわ。」
「ミューレはぜんぜん、うんと言ってくれないんだよなあ。彼氏いないんだから、別にちょっと付き合うくらい、いーじゃんねえ?」
「私よりも先に死ぬ生き物は嫌よ。なんども言ってるじゃないの。時間が違うのよ。」
「ちぇ〜。」
す、凄い人だなあ……。
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また間があいてしまいました汗
頑張ります。
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