第363話 ネプレイースの体作り
「ネプレイースの体を作るのに、スタミナ消費を試さないのであれば、ルカリア学園に通うのは悪い案ではないですね。」
「そう?どうして?」
キリカに膝の上からどいてもらって、スタミナ回復薬を飲んでネプレイースの体作りを再び始めながら、声だけでキリカに答える。
「ルカリア学園には、スタミナを空にする基礎訓練がありますから。
1学年目は、騎士科も魔法科も文官科も、合同基礎訓練の授業があります。
出る日程は基礎訓練の日にしてみては?」
キリカが授業内容を教えてくれる。
ルカリア学園は、騎士科、魔法科の他に、文官科があるのが特徴なんだ。つまり、将来の官僚を育てている学校だということだね。
卒業後に優秀だと、王宮勤めをすることが出来るんだ。文官科はそのまま文官へ。騎士科と魔法科は、武官への最短ルートと言えるね。一般募集もあるけど、ルカリア学園を卒業したほうが、高級官僚になれるんだよね。
キャベンディッシュ侯爵家は、代々ルカリア学園を卒業しているし、僕も後継者のままなら、ルカリア学園に入学予定だったんだ。
だから通ってみたい気持ちが、ないかと言えば嘘になるけど、今更通ったところで、魔法科に入れるわけでもないからなあ。
もちろん僕は、卒業しても文官にはならないから、単なる箔付けにしかならないけど。
それでもルカリア学園で優秀な成績を修めたという事実が、王宮側で必要らしい。
「そっか。どうせ行かなくちゃいけないんだし、それなら僕の国を作る為のステータス上げついでに、学園に通う日程を消化できたらお得だね!うん、そうしよう。」
「ルカリア学園は、国の為に働ける人間を作ることを目的としていますからね。
魔法使いは何より、体力、スタミナ、攻撃力、防御力の上がりにくい生き物ですから。
魔法使いの戦闘時の敵は、なによりその、己自身のステータスの低さです。
前衛が守るとは言っても、基礎を上げておくに越したことはありませんからね。
それに文官と言っても、王族の近くで働く人たちです。いざとなったら守られるだけの存在ではいられません。自分の身くらい、ある程度守れるように育てているようです。」
「たしかにね。その分死ににくくなるし。
僕も少しは体も鍛えておきたいな。」
グッと腕に力を入れてみるけど、当然叔父さんのような力こぶは出来ない。
魔法使いだと考えていたから、今まで気にしていなかったけど、叔父さんみたいな強い男に憧れる気持ちがないわけじゃない。
何より僕はスキルで戦うから、スタミナを上げておかないと、その分使える回数が限られる。それに血の海は近接攻撃だからね。近接攻撃しかえされる可能性だって高いし。
あとは避けられる程度の素早さや、武器を使ってこられた時に、盾で受け止められるくらいの筋肉は欲しいとこだね。
「入学申込みは、国が行うんでしたよね?」
「うん、特別編入になるからね。」
既に入学試験も入学式も終わって、最初の授業が始まってる頃だ。
そこに転入生としてねじ込む形になると、使者の人は言っていた。試験は学力テストの他に、魔法科と騎士科は、それぞれに実力テストがあるけど、一芸入試もあるんだ。
冒険者として実績のある子どもが受験する場合、冒険者ランクがその実績にあたる。
僕もランクだけはDだけど、そっちは今回一芸入試の対象にはならないんだ。
僕の場合は商人としてのランクが、それに相当することになってるみたい。ちなみに僕が編入させられるのは文官科の予定だ。
なぜって、魔法科や騎士科に一芸入試で受かっても、相応するスキルがないからね。
授業についていかれないから。
一芸入試の場合、学力テストも受けなくていいんだけど、実際それで入学する冒険者はほぼいないと言っていい。
なぜなら平民は基本文字が読めないから。受かっても授業についていかれないからね。文字が読めて王宮勤めしたいまれな人が、たまに入ることがあると聞いたことがある。
「──よし、出来た!」
ネプレイースの体が、スタミナ回復薬3本目にして、ようやく出来上がったよ。
薄紫のロングヘアの頭の脇に、輪っかにしたような三つ編みを、左右にそれぞれ2つずつくっつけて、そこに花飾りを付けて、毛先も細い三つ編みに束ねているのが可愛い。
くりんとした丸っこい可愛らしい茶色の目に、小柄で幼い体つき。リアムと同い年くらいかな?末広がりの丸い筒のような、白くて裾がモコモコしているワンピースを着てる。
ネプレイース!体が出来たよ!
意識をつないでみてくれる?
僕は心の中でネプレイースに声をかけた。
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お待たせしました。
書き立てのほやほやです。
個人的にネプレイースの髪型は、かなりお気に入りです。
中華風をイメージしていただけると。
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