第329話 姉妹ハーレム

「ほ、本当か?私は可愛いのか?」

「はい、甘えん坊なのに、甘えるのがヘタなんだろうなあ、ってところが、特に。」

 僕はディダ姉さまの頭を撫でてやる。


「えええ?オニイチャン本気ですか?私からするとディダ姉さまって、面倒臭くてちょっとイラッとする存在なんですけど。」

 キリカが信じられない、という顔をする。


「うーん……。キリカは末っ子だからじゃない?長男を長い事やってると、手がかかるのもワガママも可愛いと思うというか。」

「そういうものですか?」


 兄さまや姉さまたちの存在を知るまでは、僕はお兄ちゃんだという意識が強かったからなあ。小動物みたいに不器用な甘え方って、ついつい可愛く思えちゃうんだよねえ。


「オニイチャン、私よりもディダ姉さまのほうが可愛いんですか?」

 キリカが拗ねたように口をとがらせる。


「アレックスは私が可愛いのだ!

 私の弟は私に構ってくれるのだ!

 邪魔をするでない!」

 ディダ姉さまが後ろから抱きついてくる。


「もちろんキリカも可愛いよ?」

「アレックス!?なぜ私だけを可愛がらないのだ!ようやく会えた姉だぞ!?」

 後ろからギュッ。


「私のほうが可愛いですよね?

 オニイチャン。」

 キリカが右腕に抱きついてくる。

 右からギュッ。


「あら、私だって可愛いですよね?

 アレックス。」

「ミボルフィア姉さま!?」

 前からギュッ。


「私は当然、可愛いわよね?

 アレックスぅ?」

「エリシア姉さままで!?」

 左腕をギュッ。


 右腕にキリカ、左腕にエリシア姉さま、前にミボルフィア姉さま、後ろにディダ姉さまが抱きついて、身動きが取れないでいる。


「我は可愛いか?アレックス。」

「ちょっ、レスタト兄さま!?

 それはさすがに無理がありますよ!?」


 抱きついてこようとする屈強なレスタト兄さまに、僕は思わず慌てる。レスタト兄さまにギュッてされたら、姉さまたちやキリカごと、僕が抱き潰されそう!


「あはは。すっかりディダがアレックスに懐いちゃったね。こんなところもあったんだなあ。今まで知らなかったよ。」

 マルグス兄さまが笑いながら言う。


「アレックス、せっかく久しぶりの体なのですから、この足で地面を踏んで、あなたと思い出のレグリオ王国の海に行ってみたいわ。

 今後の予定はどうなのかしら?」


「あ、はい、出店した店を回って様子を確認したり、新しく店を出す予定の国に行ったりするつもりですけど、特に急ぎません。」


「だったら、セオドアも誘ってどうかしら。

 それとももうあなたも大きいのだし、母さまとの旅行は、嫌?」


「そんなことありませんよ!

 本当に時間をとっていただけるのですか?

 神さまとしての仕事があったりは……。」


「日々忙しくしているというわけではないもの。子どもたちをたくさん作ったから、大抵のことは子どもたちがやってくれますし。

 私はそれを見ているだけよ。」


「ずるいですよ母さま。アレックスと旅行に行くのであれば、我々も行きたいです。」

 スローン兄さまがそう言い出した。


「そうだね。弟と楽しく遊んでみたいかな。こっちの世界は退屈だからねえ。地面から見る人間の世界を見てみたいかも!」

 マルグス兄さままで乗っかってくる。


「アレックス!当然私も連れて行ってくれるんだろうな?旅行なぞしたことがない!

 アレックスとの旅行、楽しみだ!」

 ディダ姉さまもですか?


 というかみんな、僕の意見は無視して、旅行に行くつもりまんまんなの?

 しかも叔父さんも連れて?

 これは……、叔父さんに相談案件だ。


「ちょっとここで待っていてください!」

 僕は時空の海から出て、叔父さんに意見を仰ぐことにした。もちろん母さまたちは、時空の海の中にいったん残して。


 ……だって、人の話を聞かない人たちが8人もいたら、まとまる話もまとまらなくなるもの!叔父さんを囲んで大騒ぎして、混乱する叔父さんの姿が見えるようだよ。


 叔父さんはキッチンで本を読みながらお茶を飲んでいた。今日は雨だから、畑仕事はお休みなんだ。叔父さんは自分の横に立った僕に気がついて顔を上げた。


「叔父さん、ちょっと話したいことがあるんだけど、今だいじょうぶかな?」

「別に構わんが……。お茶を入れるか?」

「ううん、だいじょうぶ。」


 僕は叔父さんの反対側の椅子に腰掛けた。

「それで、話したいことってなんだ?」

「うん、その……。キリカの体って、僕の作った人造人間なんだよね。」


「そうだな?」

「その……。兄さまたちがね?自分たちの体も作って欲しいと言ってきて。」

「ああ。作ってやったのか。」


「うん。僕がそれを作って、さっきみんなとつないでもらったんだけど……。

 なんでか叔父さんを入れて、旅行に行きたいって話になってね。」


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更新遅くなりました!

書き立てのホヤホヤです。

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