第304話 追ってきたインフェルノドラゴン
「ミルドレッドはどこだ。」
なに、この人、なんでミルドレッドさんを探してるの?
そもそもどうして僕が、ミルドレッドさんの関係者だってわかったんだろうか。
下手に答えるのは危険な気がする。
空を飛べるほどの魔法を使えるなら、この間のあいつらの関係者、という可能性だってあるよね。僕は相手が何か言い出すのを待って様子を伺った。
「答えねえなら……、こうだ!」
突然手に魔法をためて、僕とレンジアを攻撃してきた!何なのこの人!!
短気にもほどがあるよ!
「レンジア、しっかり捕まってて!!」
デルタを操って素早くかわしたけど、次から次に魔法を放ってくる!!
デルタを急発進させて距離を取ろうとすると、「待て!!」と、飛んだまま追いかけて来た!しつこいなあ!
「待てっつってんだろ!」
飛んだまま後ろから魔法を放ってくる。
レンジアを乗せてるから、振り落とさないようによけるのが大変だ。
「アレックスさま、迎撃する。止めて。」
「レンジア!?駄目だよ、どんな相手なのかもわからないのに!」
僕は暗器を取り出したレンジアを止める。
空中を飛んで攻撃可能な敵なんて、いくらレンジアが王家の影だからって、勝てるとは思えない。かと言って、このままじゃ僕も攻撃出来ない。どうしよう?
そうだ!僕とミーニャは、ミルドレッドさんと念話が出来るようになったんだった!
ミルドレッドさんに確認してみよう!
『ミルドレッドさん!赤髪に金色の目の男の人が、ミルドレッドさんを探してるみたいなんですが。ご存知ですか?』
『なんじゃと?赤髪に金色の目の男?
……あやつ、こんなところまでわらわを追って来よったのか。
すぐに行くからそのまま待っておれ!』
言うが早いか、風をまとったミルドレッドさんが、僕らの家から僕のところまで飛んで来て、男の出した魔法を魔法で相殺し、驚いた表情の赤髪の男性を睨んでいる。
ミルドレッドさんの周囲を素早く風が舞っていて、どうやらよく見たら男の周囲もそうだった。風魔法を使って飛んでるのかな?
「ミルドレッド!探したぜ!」
「リニオン……。
まだわらわを追いかけておったのか。」
ミルドレッドさんの知り合いかな?
「当たり前だろ!
お前は俺の子を産む女だからな!」
リニオンさんがニカッと笑う。
え!?そういう理由で追いかけてたの!?
「それはとっくの昔に断っておろうが!」
というか、ミルドレッドさんに子を産ませたいってことは、……この人、ドラゴン!?
「水晶の館からお前の気配が消えて、ニオイを辿ってきたはいいものの、ここいらで見失っちまったんだ。そしたらお前のニオイをさせたこいつが目の前に現れたのさ。」
ミルドレッドさんのニオイ……。
よく抱きつかれているからかな?
お風呂には毎晩入ってるのに……。
見つけられなかったのは、認識阻害魔法のせいかな?それでもこんなところまで、ニオイだけで追ってこられるなんて、さすが同族ってことなんだろうか。
「それにわらわはアレックスの子を妊むと決めたのじゃ!
そなたの子を産む予定なぞないわ!」
「ミルドレッドさん!変なこと言って、相手を刺激しないでください!」
その言葉にリニオンさんが僕を睨む。
「アレックス……?まさかこの人間か?
お前のニオイがしたってことは……。
てめえミルドレッドを抱きやがったな!?
覚悟しろ!殺してやる!!」
叫んだリニオンさんの姿が、真っ赤な巨体のドラゴンへと変化する!
さっきまで人型だったことで、抑えられていたんだろう魔力の放出を感じる。
後ろでレンジアがカタカタと増えている。リニオンさんの強さがわかるんだろう。
僕にはイマイチそれが伝わらないのは、僕が半分神さまだからなんだろうか。
「アレックス下がっておれ。リニオンはインフェルノドラゴン。そなたが相手になる存在ではない。わらわが戦うぞよ!」
言うなりミルドレッドさんがクリスタルドラゴンの姿へと変化する。インフェルノドラゴン……!クリスタルドラゴンと同じく、災厄級と言われるドラゴンだ!
「こんなところで暴れないで下さい!
王宮から兵士がやって来ます!」
「安心せい!心配せずとも、認識阻害の魔法はかけ直しておる!」
ミルドレッドさんはそう言って、リニオンさんが口から放ったブレスを、ブレスで相殺する。その衝撃波のすさまじいこと!
認識阻害魔法で気配を消したと言っても、衝撃波は当然消すことが出来ない。
ビリビリと大気を揺らす衝撃波が、離れたところにいる僕らにまで届いてくるよ。
「その男をかばうってんだな!」
ブレスを吐きながら、ミルドレッドさんに空中で突進してくるリニオンさん。
「アレックスは傷つけさせぬ!」
それを再びブレスで相殺しつつ、向かって行くミルドレッドさん。
2つの巨大が空中でぶつかり合う!
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