第276話 鱗と魔物の入手
「……。あの、あなたの鱗が欲しいのですが、ドラゴンに戻っていただけませんか?」
「鱗か、別に構わぬよ。」
そう言うと、また強い風が吹いて、目を開けると、ミルドレッドさんは、クリスタルドラゴンの姿に戻っていた。これ、ドレスどうしてるのかな?魔法で出してるとか?
「さ、取るがいい。」
取るがいいって言われても、聖なる力を流さないと駄目なんだよね?
キリカ!どうすればいいの?
【クリスタルドラゴンに触れて、剥がれろと念じて下さい。オニイチャンならそれで、クリスタルドラゴンの体に聖なる力を注ぐことが出来ると思います。
……あんまり変なところを触らないで下さいね。特にオシリとか。】
オシリ!?なんでオシリ!?
【私、知ってるんですよ。オニイチャン、女の子のオシリ好きじゃないですか。】
!!!!!?
え?ぼ、僕って、そうなのかな?
あんまり自分じゃ意識はなかったけど。
ていうか、ミルドレッドさんは今クリスタルドラゴンの姿なんだよ!?
オシリなんて別に触りたくないよ!
【人間の姿だったら触ってましたか?
触って欲しいみたいですもんね、彼女。】
キリカが面白くなさそうにそう言う。
触らないってばあ!!
キリカが変なことを言うから、僕は緊張しながらクリスタルドラゴンへと近付いた。
そっと胴体に触れて念じる。
剥がれろ……、剥がれろ……。
こ、これでいいのかな。
そう思っていると、手のひらが突然熱くなってくる。これ、聖なる力を注いでるの?
「ふっ……。くっ……。」
僕の手が熱くなると同時に、ミルドレッドさんが身悶えしだす。
「い、痛いんですか!?」
鱗を剥がすんだものね、いくらこんな巨体の一部だからって、何も感じないわけがないよ。僕がそう心配して声をかけると、
「く、くすぐったいのじゃ。くっ、ふふふ、あはは、は、早くしてたもれ。」
「す、すみません!急ぎます!」
剥がれろ!剥がれろ!剥がれろ!
そう念じていると、鱗が浮いてきて、ポロポロと12枚の鱗が剥がれて地面に落ちた。
う、うわあ……、かなり取れちゃったよ。
他の英雄にも渡したいから、数があるのはありがたいけど。
「痛くはなかったですか?」
「あい、問題ないのじゃ。」
そう言うと、また強い風が吹いて、ミルドレッドさんが人間の姿に戻って全裸になる。
「な、なんで毎回裸になるんですか!」
「服は用意したものを着ておる。人型になる際に裸になるのは致し方ないであろ。」
そう言うと、ミルドレッドさんがツイッと指先を軽く振る。ベッドの上に脱いであった服が飛んできて、両手をあげたミルドレッドさんの体の上からスポッとはまった。
なるほど、そうやって着てるんだ……。
「用はこれだけかの。」
「あ!もう1つあるんです!」
「なんじゃ?」
ミルドレッドさんは、服に入った髪の毛を出しながら答えてくれる。
「ミルドレッドさんは、ここのダンジョンを支配してらっしゃるんですよね?」
「そうじゃ。ここのダンジョンの魔物たちはすべてわらわの支配下にあるの。」
ドヤッという表情でない胸を張る。
「Aランクの魔物を捕獲しに来たんです。1種類につき1体ずつわけてくれませんか?」
「なんじゃそんなことか。ぞうさもない。」
ミルドレッドさんがそう言って、また指先をツイッと振って回転させた。するとドスドスと音がして、後ろを振り返ると、魔物たちがこちらに行進して来るのが見えた!
魔物たちが、まるで王さまにかしずくみたいに、僕らの後ろで地面に座って、ジッと僕のことを見つめていた。
「凄いな……。ミノタウロス、デュラハン、メデューサ、ワイバーン、グリフィン、ケルベロス、フェンリル、キングタイガー、マンティコア、オーガジェネラル、ミスリルゴーレム、アルティメットスライムまでいるぞ。」
魔物に詳しい叔父さんが教えてくれる。
ちなみにオーガジェネラルと、ミスリルゴーレムと、アルティメットスライムは、Sランクの魔物なんだそう。
さすがSSランクダンジョンだよね。こんなのが普通にいたら、普通はダンジョンボスになってるよ。これだけいれば、きっと気にいるものだっている筈だよね!
「さ、好きなものを選びや。」
「すべて1体ずついただいていってもいいですか?お相手がどれを気に入るのか、わからないので。一応全部見せてみたいです。」
「好きにするがよい。お前たち、この人の子の指示に従うのじゃ。わらわが近くにおらぬとも、決して逆らうでないぞ。」
ミルドレッドさんがそう言うと、グオオオォーッと魔物たちが吠える。これって、わかりましたって返事をしているのかな?
「ありがとうございます!」
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