第128話 海底鉱山の採掘人集め
「そうさ!なんと海底から取れた金を含む鉱石なのさ!みろ!うっすらと金が見えるだろう?こんなにハッキリ目視で、少しとはいえ見えるのは、凄いことなんだぜ!」
男性が手のひらに乗せている、黒っぽい灰色の岩のようなカタマリには、たしかにチョッピリ金色の部分が混じっているようだ。
「普通の金山で1ナイガあたり、取れて3オンザから5オンザしか含有していないのに、こいつには1ナイガあたり、20オンザも含まれていたんだぜ!すげえだろ!」
周囲の人びとがザワザワとしだす。1ナイガで成人男性15人分だったか?
4倍から7倍は確かにすげえが、金塊が出来るのにどのくらい必要なんだ?
そんなことを言っている。金山は金がそのまま入っているわけじゃなくて、金の含まれた鉱物の中から、金を抽出する作業の必要なものだと聞いたことがあるよ。
だから金塊を作るのってとっても大変なんだって。だけどそれをするだけの価値のあるものだ。それに金はお金のもとにもなるし、装飾にも金を使うのがみんな好きだからね。
金山を手に入れたら、それこそ1代貴族にもなれる程だと言われているね。たくさん人を雇うし、金の売り上げでたくさん税金を支払うからね。そのほうが楽なんだろうけど。
「──深海には領土も採掘権も関係ない。
誰にだって掘れるのさ!平民が一発逆転するには、これからは海底鉱山だ!さあ!名乗り出る奴はいないか!早い者勝ちだぜ!!」
海底鉱山かあ。ほんとなら凄い話だよね。
鉱山は持ち主が決まっているものだから、普通そこの領主にしか採掘権はないからね。
「たしかに凄いが……、海底じゃあ取りに行かれないだろう。潜って取りに行かれるような深さにあんのか?」
「そこでテイマーだ!今俺たちラーミア商会は、腕のいいのテイマーを集めてる!
海に潜れる魔物を操れる力を持つテイマーは、俺たちのところに来ないか!?」
「潜ってどうするんだ。確かに海の魔物を操れるテイマーはいるだろうが、深海の魔物ってのはそこにしか住めないから住んでるって聞くぞ?浅いところに住む魔物もそうだ。」
「そうだそうだ、そんなところに潜らせでもしたら、せっかくテイムしても魔物がおっ死んじまうじゃねえか!」
そう言われた男の人はニヤリと笑う。
「俺たちの仲間に、それを可能とする魔法使いがいんのさ。技術は秘密だがな。」
再び周囲がザワザワしだす。
「協力してくれたら、成功報酬で4割やろうじゃないか。本当なら2割といきたいところだが、なにせ早い者勝ちなんでな。こっちも急いでいるんだ。──どうだ?」
魔物を連れた1人の男性が手を上げた。
テイムされていることを示す、銀の首輪をつけた鳥の魔物だ。テイムされている印があれば、町の中でも魔物は連れ歩けるんだ。
「今テイムしているそいつを手放すことになるが、問題はないか?」
「ああ、稼げるのなら問題ない。」
とテイマーの男性が言った。
テイマーは魔物でも動物でも、1体までしかテイム出来ないからね。だからこんなところまで来て、人手を集めてるんだろうな。
海に潜れる魔物をテイムしなおすのなら、今テイムしている魔物はテイムをといて手放さないと、テイム出来ないんだ。
僕はここで人垣から離れた。
いつものようにスクロールを発動させてから、魚を出してお店の準備をしていると、いつの間にか向かいの露天で、レンジアがリュウメン屋さんの準備を始めてる。
つまりは、僕の露天の向かいかつ、今度僕が出す店舗の魚屋さんのお隣の位置だ。
僕の店舗の魚屋さんの向かいが、ラナおばさんの店の真向かいになるね。
ほんといつ寝てるんだろ。
思うんだけと、商会の人たちも、レンジアのリュウメン屋さんに期待をしてるんじゃないかなって思うんだよね。
だって、露天とはいえ、本来店舗が並んでる位置の隣なんだ。本来なら屋台なんて置くような場所じゃあないんだよね。露天はもともと場所が決まってるものだからさ。
僕の魚屋だって、ラナおばさんの肉の焼串屋さんだって、もともと屋台型の露天が設置してある場所を借りているんだよね。
レンジアがオフィーリア嬢の命令で、僕の監視にこだわって近くに来ようとしたって、端っこの僕の隣には店は出せない。
だから向かいにって思ったんだろうけど、だからって、もともと何も置かれていなかった場所に店を出すなんて、普通は無理だよ。
多分、リュウメンを味見させたんじゃあないかなあ。珍しい異国の料理で、かつ、とっても美味しいからね。すぐに繁盛して、店舗を借りる可能性があるとふんだんだと思う。
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