キミの香りを探してた。

@rainbow-baby

第1話 3年ぶりの再会。

俺には3つ下の幼なじみがいる。

母親同士が親友で

幼い頃から遊ぶことが多かった。


俺が小学生に入学する時、

「千ちゃんと離れたくない!!

僕も一緒に学校に行く!!!!」

と、泣かれたことがある。


母親が必死になだめて

その場はとりあえずおさまった。


俺が小学4年生であいつが小学1年生の時、

登校も下校も常に一緒だった。

小学6年生でサッカー部に入ってた時も

教室で俺が終わるのを待ってた。


中学になると俺が卒業する時に

あいつが入学して

高校の時も俺が卒業する時に

あいつが入学する流れだった。


大学進学を期に俺は東京に行き、

それ以来顔を合わせていない。


今まで金魚のフンみたいに

ついてきたヤツがいなくなると

どこか寂しいと思うこともあった。


でもお互い別々の道を歩んで10年後くらいに

「久しぶり!」なんて言いながら

再会するのも悪くないと思っていた。


今年は俺も大学4年生で

本格的に将来のことを考える時期だ。


今日は春休みが明けて

新しいスタートの日。


新しい講義の説明を受けるオリエンテーションの日だから

そう難しいこともない。

「おっ、千じゃん。おはよう!」


「おはよう!お前もこの講義取ったの?」

大学入学してから仲良くなった佐久間蓮さくまれん

明るくてマイペースヤツ。


「お前午後からも講義ある?」

「あー、1つだけな。でも今日先生の都合で講義なくなった。」

「マジで!?じゃ、駅前のハンバーガーショップ行こう!

新メニューが出てみたいでさ。」

「お前、マジであそこのハンバーガーショップ好きだよな」


ものの30分くらいでオリエンテーションが終わって

蓮と二人で教室を出る。


校内から外に出て駅の方に歩き始めたその時、

遠くから俺を呼ぶ声がした。


「………」

最初は何を言ってるか聞き取りづらかったが

その声は少しずつ…いや、すごい勢いで俺に近付いてくるようだった。


「ねぇ!!千ちゃん!!!!!!」

俺が声のする方向に顔を向けた時には

目の前にいた。


その人物は勢いよく俺に飛びかかってきたんだ。

あまりの勢いに俺は後ろに押されるように尻餅をついた。


「いってぇぇぇぇ。ったく、なんなんだよ!!」

俺に馬乗りになるようにの顔が至近距離にある。

「えっと、誰?」


「ひどいよ!!千ちゃん!!僕のこと忘れたの?」

正直全然思い出せなかった。

「…と言われても…。」


白石晶斗しらいしあきと!!あきだよ!!!」

まるで子供みたいに頬を膨らませながら

あからさまに怒っている。


「…白石晶斗…ってまさか!?あき!!??」

そういうと膨らんでいた頬がすぼんで

口角がグッと上がった。


「やっと思い出したの?千ちゃん!!」


「ちょっと待って!!なんでお前がいるんだよ!?」

「なんでって、俺今年からこの大学の1年生だもん」

得意げに言うあきは、あの頃と何も変わってなかった。


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