第42話
私たちのグループは、はじめは慈善団体のような感じで収集のつかず、国の混乱を生きている貧しい人たちに援助をしていました。
貧乏な私たちがしっかりした援助ができたのは国民王よりの貴族だった人がグループに入ってお金を寄付してくれたからでした。
その後、私たちのグループは活動の幅をグレシャー帝国全土に推し進めました。
やがて国民たちは事態の収集を一向につけられず、自分達だけまたぬくぬくと暮らし始めた王族貴族に怒りをあらわにしはじめました。
国民王のいなくなったいま、新しい王様を決めようと声が上がり、政府もそれを認めました。
国民王の時と同じように国民投票という形で…。
なかなか国民の代表が見当たらずに焦っていた国民たちはグレシャー帝国全土で活動をしていた私たちグループに目を付けました。
国民に持ち上げられた私たちは、選挙への出馬を決意しました。
早めに選挙活動に入っていた王族代表に追いつくために行動を開始しました。
ですが、あろうことかリーダーの私が国民たちの代表になってしまい、国民投票の結果、歴代はじめてのグレシャー帝国の王女となったのです。
その証として氷結剣スカジを受け取った私は、浮足立ち、誇らしげな気持ちで今後の生活を期待していました。
そこから地獄の日々が始まりました。
国民王の時と同じように王族や貴族たちは私たちのグループの誰一人として部下に入れることを許さず、私一人での戦いでした。
糾弾、暴行、迫害…、ありとあらゆる人権を侵害する行為を侵された私は国民王の苦しみを理解することができました。
帝国の最高位を奪い取った女。
嫉妬は沸点を振り切り、帝国内での暴挙はとどまることを知りませんでした。
国民のために…、私のような貧しい生活を送ってほしくないから戦い続けました。
それでも、その戦いにも終わりが来ます。
悲劇の王様の再来…。
王女に即位してから一年後、その新聞記事を目にしたのを今でも鮮明に覚えています。
私の大切な、宝物だった国民たちを国民王の時と同じように情報を操作し、金と家族を人質に私を追い詰めていきました。
信じていたものが壊れ、信頼していたものが裏切られる。
ただ、国民のみんなに笑ってほしくて、笑い続けてほしかっただけなのに…!
帝国中から追われ、国を貶めた大罪人のレッテルを張られた私を唯一救ってくれたのは、【空白の三年間】が終わった時に、一緒に慈善団体で行動していたグループの人たちでした。
グレシャー帝国は鎖国国家ですが密船といって、脱国できる船が政府に内緒で年一回で出ていました。
グループのみんなが私を囲い、その船にスカジとともに押し込めて私を逃がしてくれたのです。
そこから揺られる波にとともに深い眠りについた私は何も知らない、誰も分からない場所に降り立ちました。
これが私の過去、そして現在に至ります。
私はいま、グレシャー帝国を探して旅をしています。
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