第10話 師匠のお言葉
わたくし、入社するまでこのお仕事はある程度のルーティーンでこなせば良いのかなと思っておりました。
おバカですよね。お葬式って 同じものが一つとしてありません。
そんなこと完全に抜けておりました。
【こんな仕事なんて失敗したなー】
【俺には無理だよ】
とか、思っておりました。
やっとデビューをしましたが、まさにやっと運転している状態。
習うより慣れろ状態でした。
師匠は相変わらず 昭和バリバリの教え方・・・
っと思うのですが 意外とピンポイントで教えてくれる。
部活でお水飲めなかった世代なので、厳しいくらいが良い。
ドMか?
ここで師匠から、いまだに忘れていないお言葉が出ました。
『御家族にとってお葬式は1回しかない』
『しかしお前は何回失敗しても 何回でもできる』
『御家族にとって良いお葬式をあげたって 思うようにしろ』
『失敗しても失敗した事をばれないようにしろ、堂々としろ』
『出棺は舞台だ、演技をするんだよ 演じるんだよ』
いやー、がつんときました。
そーですよね、甘い考えはすてないと。
でも、それでもこの時点では ピンとこない気持ちも正直ありました。
【演技?舞台?】
師匠はだからビシっとしてるんだ。
すこーーしわかっってきました。
職人技について。
職人技というか師匠の説明になっておりましたが。
説明というかなんというか。
要はですね
お葬式一つ一つで動きを変えなくては行けない。
一言で言えばこれだけです。
例えば
霊柩車を運転します。
後ろのお車引っ張ります→皆様の運転スキルで離れたりする→合わせる→道交法も守る→ミラー見る→前も見る→助手席に喪主の方が同乗したら→お話する→お話を合わせる→エアコンとか窓開けたりとか・・・・
全てオーダーのような?
やることいっぱい&考えなくていけない。むしろ考えてる場合ではない。
説明が下手くそで申し訳ないですが、毎回違うからこそ 技が必要になる。
技というか、気配り目配りですね。
接客業、営業、販売、コールセンターのお仕事などなど
色々やってきましたが 通用しませんでした。
あとは先を読むってことですかね。
これは何の仕事でも必要かと。
以上 職人技についてでした。
わかりにくいですかね?
失敗はたくさんしてますよ。
どんな失敗でしょうか。
次からお話致します。
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