第4話殺しのダイヤル④解決編
堀健一朗は、窓辺から見える夜のビル街を眺めていた。
これで、全て済んだ。私の勝ちだ。日本の刑事どもは間抜けだ。
そこに、ドアをノックする音が聞こえてきた。
堀はドアを開いた。
そこには、黒井川と呼ばれていた刑事が立っていた。
「少し、お話をよろしいでしょうか?」
「今日は疲れた、明日にしてくれ」
「え~、今回は尋問です」
そう言われた、堀は余裕の表情で黒井川を部屋に入れた。
プルルルルプルルルル
「掘先生、お電話です。公衆電話からです」
堀は仕方なく電話に出た。
「お前のカミさんの命が欲しければ、後2000万円用意しろ」
「急いで準備しましょう」
「単なる悪ふざけだ」
「どうして?あなたが、奧さんを殺したから?これは、部下にかけさせました」
「何をしとるんだ。尋問とはなんだ?」
「今日の電話内容について。1件目は2分喫茶店に遅れただけで怒り狂った犯人が、2件目は10分の遅刻に関しては何も問題にしなかった」
「君ー、あんた犯人は頭おかしいヤツだよ!いちいち気にしてどうする」
「電話を掛けた犯人は、何者から原稿を渡され、名古屋市中を走り公衆電話から電話を掛けたんです。でも、あなたはみそを付けました」
「なんだ?」
その前に会って欲しい人物が1人います。
「いいよ!」
手錠を掛けられた少年が現れた。少年が
「あんたのお陰で、詰んだよ」と言った。
中村区の公衆電話付近を走っていた、パトカーが盗難届けの出ているスクーターを発見しリュックを確かめたら、原稿用紙が数枚発見され、現行犯逮捕したのだ。
「私が原稿を渡した証拠はない」
「まぁ、慌てずに。最後の電話です。築山の男は刑事だ、人質の命はない。これは、傑作ですね」
「何が?築山に男がいたら、刑事だって分かるだろ?」
「いいえ、分からないと思います。いたのは、あなたの頭の中だけです。最後にもう1人、会ってもらいたい人物が」
堀はゴクリと唾を飲み込んだ。
「あの時、築山にいたのは、入っていいよ!」
部屋に入って来たのは、バニーガールの格好をした、川崎巡査だった。
「え~、昨夜ハロウィンで彼はバニーガールの格好をしていたみたいでして、どこから見ても刑事ではありません」
「小説通りにはいかなかったか……」
「みんなお願い」
警官が数名、部屋になだれ込んだ。
黒井川警部は、
「午前3時45分、堀美代子さん殺害で逮捕します」
と言うと若い刑事が堀に手錠を掛けた。
堀健一朗の一番のミスは、黒井川警部を甘く見ていた事だ。
黒井川は、1本タバコに火をつけて一服してから、ホテルを後にした。
完
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