第19話 勉学と鬼ごっこ
春の中間テストまで近くなってきた。由利花と要のことでいろいろと世話をしていたからそれを完全に忘れていた。もちろん俺がバカだからではない。勉強をさせなくてはいけないはずの由利花に全く勉強させなかったことが問題だ。
由利花の成績はいつもぎりぎり。赤点覚悟で臨む日のほうが多いといってもいいほど馬鹿だ。いつもなら近くになったら遊ぶ時間を減らし勉強にあてていたりした。もちろん嫌がりはするがなんとか毎回座らせている。
中間ってこともあり教科が少ない分まだなんとかなるきもするが由利花って一言が心配のみなもとだ。
「おらいくぞ」
「もういないぞ」
勉強するとなれば心強い仲間がいる。いつも寝ていても成績上位の新庄。特に理系に強い俺。文系に強い要。抜け目のない編成となっている。このトライアングルは彼女に祝福をあたえるものだ。
だがしかし現実はそうあまくない。テストが近い。これを聞いて由利花はだまっていない。彼女は俺らにつかまることを予知しすぐさま行動に移った。つまり脱走だ。
由利花は放課後のチャイムと同時に道具を持ち身を投げ出す。しかも人通りの多いところで忍びが陰に潜むようにうまく空気になって動く。そのため気づいた時にはもう席からいなくなっている。
「今日どうする?」
こうなることは過去もそうだったし想定内。たまーに逃げる前に捕まえることもできるが基本的には彼女の逃げが勝っている。こうなると俺らは分かれた探すことになる。
まずは学校内部。よく俺らが外に逃げたと想定し学校にそのままいるってことがあるためだ。
次に商店街周辺。これはばれやすいからという理由でどうどうと買い物に行く作戦。しょうじき知っていても探すのは困難。
そして基本的に俺が担当になる。家周辺。なぜかあいつは逃げることには才能があり頭の回転が速い。一回逃げたところは基本的に同じようには利用しない。商店街や学校は潜むだから根本的に変わることはない。だが家周辺は一味違う。家周辺は俺らの庭みたいなもの。すべてにおいて最善になる場所をみつけそこに潜む。それは外だけでなくご近所づきあいすらも利用してくる。つまり同じご近所づきあいという能力を持った俺がいかないと見つけるのはほぼゼロになるわけだ。
「まずイベントてきなものは近くにないからここはない」
探す範囲はものすごく広いがレパートリーはものすごく少ない。そのため厳選させることで由利花のおおまかな位置を考えるほうが効率がいいのだ。そして由利花がアニメ関係で動くかは同じおたくの新庄が知っている。
「ならここはないな。やっぱモールか」
「昨日スイーツとか言ってな」
由利花はテストが近づくにつれてトラップをはってくる。どこどこ行きたいとかこういうことしたいとか、振り回してくる。
「今日はあたしがそっち行く。要君は学校見てから集合ってことで」
「やっぱ俺は家周りか」
「普通に考えてそうでしょ」
「わかった見つかったら由利花の家で」
「了解」
こうして俺たちは由利花を探す時間が始まったのであった。
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