第6話 似た者同士
「いやー。今日は大変だったよ」
帰り道は軽めの反省会のような感じになっている。由利花も今日のような状況はさすがにまずいと思ったんだろう。
「おまえがぐいぐいいかねーと要が困るだろ。あいつならアニメとか好きだしそっちの店いきゃーいいだろ」
今日の買い物は集合場所は決めたのはモールの近場。その近くになら由利花がいきつけの喫茶店(アニメコラボの時のみ)やアニメショップが何件かある。
「さすがに無理でしょ」
「あいつはBLも気にしない」
いわゆる男と男が恋愛関係になるような話を由利花は好む。もちろん健全な異世界転生ものも好きではあるがグッズを買うレベルではない。そして、要は基本的に好きか普通の二択しかない。由利花に付き合うなら気にしないタイプである。そのため、由利花がオタク全開でいても見守ってくれているはずだ。
「それってデートでなくない?せっかく二人きりにしてもらったんだから普通のデートしないと。私と要君は付き合ってるんだし」
少し顔を赤くし照れている。今日何回も思ってるが、俺は昨日フラれた男だ。だが今日さんざん言われてきたせいでなぜだか慣れ始めている自分がいる。まるでメンタルが砕け散って逆に何も思わなくなったようだ。あと由利花のいい方的に俺が新庄によって排除されたように聞こえるが、新庄はお前から俺を引きはがしたんだからな。だから二人きりになれないのは俺のせいではないはずだ。
「まず、お前が普通じゃない」
「そこからだよね。普通じゃないもんね私」
気にしていたようだ。結構落ち込んでる。悪いこと言ったな。
「落ち込むことはねーよおまえは、少し抜けてるからいい。告白した俺が保証する。要そんなお前が選んだ」
心痛いが今のこいつを慰めるためなら今はなんでもしてやらねーと。
「ありがとう。ごめん。頑張らないとだね」
「俺のできることならなんでもしてやる」
「じゃ、じゃーさ休みの日にデートの予定たてようと思ってるんだけど」
この一言似たようなことさっき聞いたな。嫌な予感しかしない。
「私のことサポートしてよ!」
予想はあたってしまったようだ。ここで頷けば俺は二人を同時に指示をして行動させる。これはいい感じの空気は作れるメリットがある。だが、要一人ですら危ないのに二人をとなれば完全にマニュアル恋愛になる。たとえいい感じになってもそれは本物でない。
「すごいこと言うなお前」
「他に頼れる人いない」
「新庄は?」
「私よりも常識から外れてる人に頼れると思う?」
「あいつならからかわないことないな」
新庄が真面目になれば普通にいい感じになると思うが100%何もしないとはいいけれないし託すのはむずかしそうだな。となると俺しかいないわけか。今になって要に無理というのはひでーやつだし。
「必要な時だけ頼る。それでいいな」
「いいの!」
「バレねーように監視しててやる」
ある程度堂々としてても互いに俺のことを隠そうとしてくれそうだし上手くいきそうだ。
「ありがとう。大好き!」
急に俺に飛び込み抱きついてきた。
「ちょ、彼氏いる奴がこういことすんなよ」
「だって嬉しいだもん!」
やっぱ可愛いなこいつ。やっぱ諦めるって難しそうだ。
今回の件二人をいい感じにするだけでなく、俺が諦めるための時間になりそうだ。
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