第22話 学食攻防戦
元々なぜだか生徒会長(女子)に告白される謎スキルを持っていた。
だけど、希は図書委員ちゃんこと
なので、生徒会長がどれ程可愛かろうが、優しくても
何より生徒会長はイマイチな評判だ。
そのことは
なんでも、目を覆いたくなるほどのジコチュ―女子。
まぁ、別に関わらないから構わないのだが、三年生にもなって生徒会長に立候補した。
本来生徒会長は二年生がなり、三年生の時に新生徒会が困ったときの相談役を担当する。
そして新生徒会が次の二年生に、様々な知識や経験などを引き継ぐ流れなのだけど、現生徒会長は一年の時に立候補し、三期続けて生徒会長をしていた。
それなりに人気があるのだとは思う。
しかし、
つまり引き継ぎなして生徒会運営を行うことになる。
まったくの手探りで取り組まないといけない。
議事録などを読めば済むのだろうが……
とはいえ、三年生が立候補したらダメだという決まりもない。
なのでル―ル違反でもなんでもない。
ただ、ただジコチュ―が鼻につくというだけのことなのだが。
まぁ、ジコチュ―を連呼してるが選挙で選ばれてるのだ。
何一つ問題はないはずなのだが……
☆
「つまり、この場所を立ち退けと? なんで?」
食事を終えたオレたちに、腕組みをしたスレンダ―女子が上から目線で要求を突きつける。
反応したのは
「この一角は元々、生徒会の管轄です」
「―で?」
「元々の管轄である我々生徒会が、返却を要求するのに理由が必要ですか?」
「必要だから聞いてるんだけど?」
「慣例的にこの場所は生徒会が使用しています」
「慣例的ですか。去年は確かまったく生徒会と無縁の三年生トップカ―ストの溜まり場だった。その前の年は部活連の溜まり場。ちなみに部活連は生徒会とは呼べない、違いますか?」
「はい。我が校では部活連は厳密には生徒会に属しません」
「そうですか。では二年も慣例的ではなかったワケですね。確か生徒会長さんは三期目。去年の三年生トップカ―ストとその前の部活連、それとさっきの『ヤンチャな子たち』に返却の要求はしてましたか?」
オレは年齢イコ―ル
血縁関係はないが。
そんなこともあり、
それと『―で?』が口から出るのも危険な兆候だ。
まぁ『トバリスト』のオレしかわからないだろうが、だいたい捕りに行く時だ。
何を捕るって?
それは命的なモンです。
「彼らにしようとしていたところです」
「それを後付けの言い訳といいますが? まぁ、いいです。少なくとも彼らに二週間以上、二の足を踏んでいた臆病者さん――失礼。腰抜け生徒会長さんがなぜ私たちには五分で要求を?何か意図があるよね、どう思う?
この場にいる幼馴染ズは、
もちろん
いや、情報通の生徒なら生徒会長が、サッカ―部の一年生に熱をあげてることは聞いたことがあるはずだ。
ひとつは
二つ目は、その
いや単にドヤっただけだ。
鼻がぴくぴくしてる、これは笑うのを我慢してるのだ。
対する生徒会長は
そんなやり取りを聞きながら、オレはある解決策を思いついた。
オレは
さっきの事があるので恥ずかしそうにしたが、オレの考えは伝わったようだ。
誰にもわからないように小さく頷いた。
オレは慣れないGメ―ルで連絡を取った。
「そうですね、意図を感じますね、帳ちゃん」
うん、オレも君たちふたりの意図(悪意)を感じるよ?
そして更に生徒会長はめっちゃわかりやすく動揺した。
そこに新たなキャラが登場した――
「あの~~勘違いならすみません」と前置きをしながら、何故かショコラが「MC・ショコラ」になりエア・タ―ンテ―ブルをしながらラップをかました。
ズクズクズクズクズク――♪
――これって私利私欲♪ 我田引水? 得手勝手~♪ それとも唯我独尊? それでも生徒会長? うち等はそれでも今日も快調♪ イエイ~♪
MC・ショコラは「センキュ―メ―ン!」と言いながらサブリナとハイタッチをかわした。
ちゃんとラップになってるかわかんないけど、ショコラがしたらそれらしく聞こえるから不思議だ。
ショコラなりに生徒会長を煽ったのだ。
その狙いが功を奏した。
学食はさっきの山本君の時とは違う盛り上がりを見せていた。
ショコラのいきなりのラップが学食の生徒の興味をひいた。
それが証拠に、休憩時間もあと残すところ半分。
だけど学食から生徒たちが退く様子はない。
今から何かが起きる予感がするのだ。
オレは
ショコラが作った流れを消さないよう、意中の人が到着する前に、前振りというか罠を仕掛けることにした。
正しくは生徒会長に口を滑らせてもらおう。
「あの、質問。例えば生徒会に関係することをするためなら、この場所――オレたちが使っていいワケですよね? 違います? もちろん
「まぁ…生徒会に関わることなら……まぁ、構いませんが? あっ、でも生徒会メンバ―最低ひとりが参加することが条件です」
会長が出した条件「生徒会メンバ―最低ひとりが参加する」つまり自分も仲間に入ることを意味していた。
ショコラが暗躍し、即興のラップまでかまして欲しがる場所なのだ。
知らん顔は出来んだろ?
そして下地が整ったところで「意中の人」が登場した。
『はぁ―い。ショウくん、何してんの?』
しらこすぎる登場だが、まぁこれはこれでアリだ。
オレがGメ―ルでさっき呼んだのが図書委員ちゃんこと
オレの共依存の相手であり、相棒
そして姉
なので
実際のところスリッパでオレの足を踏み潰していた。
(あんた、なんかしたでしょ。覚えてなさいよ)
怖えぇ…正直マジ怖いです!
でも、この際だから一石二鳥ではなく何鳥か狙うことにした。
ひとつは生徒会長の難癖を跳ね返すため、生徒会メンバ―の
ふたつ目は相棒
三つ目は姉と
盛り過ぎた結果、少しくらいのボヤなら消せそうなくらい、テ―ブルの下で
「実は困ってまして。その……ヨリちゃん」
(はぁ⁉ ヨリちゃん⁇ あんた今夜夕飯ナシよ)
「なに、ショウくん。どうしたの?」
「――実は…」
オレは
「――どうでしょう、
「
生徒会長は断る気満々だ。
それと
しかし、少し考えればいいことだ。
生徒会長は「生徒会メンバ―最低ひとりが参加する」ことと言ったのだ。
言い換えれば、
そう宣言すれば、断りにくい。
でも、残念ながらそこまで頭が回っていないようだ。
あと、図書委員ちゃんといいながら、実は「図書委員長」だったのか……お詫びして訂正します。
「素案ですか? そうですね、壁新聞を作ります。部活紹介みたいな写真をたくさん乗せて、
「え⁉ 俺ですか……まぁ…はい‼」
「むつみん、お願いできる?」
「あっ、はい。依さん」
「とばっち。そろそろ許してくれないかな?」
「とばっち⁉ うぅぅ。はぁ…わかった。ヨリ、あと
『800の貸し』ってなに?
単位を言ってくれ‼
円なのか⁉
800円じゃないよな?
800万⁉
まぁ、いいや。
狙い通りだし……だけどジコチュ―女子相手に何もかも「狙い通り」になるワケもなく――更なる火種が
「ふぅん、そう。
「会長。何言ってんです? さっき自分が『生徒会のメンバ―がひとり』必要って言ったでしょ? それを図書委員長のメガネちゃんが引き受けてくれるって――」
意外に調整力抜群だが相手が悪い。
「
噂にたがわぬジコチュ―ぶりを発揮する
しかし場所が悪い。
今まで様々な伝説となったジコチュ―ぶりは、あくまで生徒会室でのこと。
誇張されてるのでは?
噂が出るたびそんなバランスが働いた。
しかし、噂以上のジコチュ―ぶりに学食の生徒は沈黙した。
いや、ドン引きした。
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