第7話 意外と普通なんだ。
「なに、転校生といきなり伝説のテ―ブル席に陣取ったわけ?」
血縁関係がない姉
自分の膝に肘をついて、意味ありげな視線を投げる。
姉としてけしからんくらいイイ女感が漂う。
八十年代のポップでキュ―トなイラストのようだ。
場所は部室前のちょっとした日陰。
サブリナさんとお昼を共にした後、教室に送り届け(迷子になりそうなので)
五限目は体育だ。
女子がどこで着替えるかは知らないが、何にしてもオレの仕事ではない。
「そこしか空いてなかったのと、サブリナさんが知らずにそこを選んだ」
オレは少し苦い顔した。
それは以前入学したてで、何も知らないオレを姉
一通り釘を刺して、この席が伝説のテ―ブル席だと教えられたが、あとの祭りである。オレは同級生女子から完全にシスコン認定をされた。
まぁ、別に間違ってないから特には否定していない。
がんばって否定して回ったところで、こういう話は面白おかしく語られる。
時間が過ぎるか、それ以上のネタを提供し情報の上塗りをすれば済むことだ。
そして残念ながら、オレは今回のサブリナさんとのことで転校早々のシャイニングブロンド女子に夢中なヤリ〇ン男子として情報を更新した。
「怒んないのか?」
先ほども軽く触れたが、姉
それはオレも変わらない。
しかも、
そう、それなりにヤキモチ焼きな一面を持っていた。
それは、昔馴染みの
それがサブリナさんに対してその「やきもちセンサ―」が緩い。
ここに来て、まさかの弟離れなのか?
何故かオレは軽く不安になる、まさか彼氏が出来たり……
そんなオレの僅かな不安を感じた
なんか、はぐらかされそうな予感。
警戒するも、その言葉には逆らえない。
怖いワケではない。
あまり他では見せない柔和な表情――逆らう勇気が削がれる。
たぶん戸籍上は弟だし?
そりゃ、姉
それくらいに、弟の目からしてもかわいいし魅力的だ。
でも、まだ先でいいんじゃね?
五十年ほど先でも……人生100年時代だし。
「怒んない。人に親切にするように
「それは……姉さん…
主に家で、しかも両親がいない時に。外では滅多に呼ばない。
「あんた、ヤキモチ焼いて欲しいの?」
あぁ……そうかも知れない。
オレは
「ん……今回は特別。転校生だし、席となりだし、外国からでしょ? 文化というか習慣の違いとか、不安かなって。姉さん的には、そういうの放っとけないあんたが好きなんですけど?」
学校で『好きなんですけど』頂きました!
そして軽く手の甲にそっと手を重ねられた日には――「わかった、姉さん!」みたいにいい返事をした。
チョロインならぬチョロ男です、はい。
そんな
「だれ?」
「
「はぁ⁉ ムツ? あんたさっさとムツ、ブロックしなさいよ!」
ん…サブリナさんに対してと、
「――で、なに? ノ―部活デイだからね? 断って!」
「姉さん。今日体育ないよな?」
「ないけど、なに?」
「ん……それがオレら五限目体育で、例の転校生サブリナさんがまだ体操服ないらしい」
「ないのって言われても、私のじゃあったとしてもジャ―ジ色違うでしょ? 学年カラ―」
それもそうか、そんな煮え切らない反応に
「ちょっと見せて――」
『
「ヤダよ、半そで短パンなんてまだ、微妙に早いだろ。張り切ってるみたいだし……」
「なに言ってんの、ユニ半そで短パンじゃない」
「いや、それとこれとは……あっ」
言う前に
それを期に、
小さく手を振って、思い出したように駆けて来た。
「放課後デ―ト。一回、家帰ってから行こ。学食で軍資金減ったでしょ?」
「減ったって言っても、オレもう――」
これしか無いしと言い掛けた口を人差し指で塞いだ。
「知ってんのよ? 机の二段目の引き出し。ノ―トの下のへそくり。あと、三段目の奥の秘蔵本。あのモデルさん、おかしいなぁ…姉さんと同じ髪型でしたが?」
かわいくニンマリした作り笑顔。オレにプライバシ―はない模様。
☆
『カバンにあるから取って渡してくれ』(ポスっ)
少しして返事が来た。
『いいけど、えっちなDVDとかないよね?(笑)』(ポスっ)
『あっ【サッカ―部女子マネ凌辱シリ―ズ】パ―ト2があるかも……』(ポスっ)
『あわわわわっ⁉』(ポスっ)
どこまで本気だか。部活の時も、こうだといいんだけど……オレは足取りも軽く教室に。
自販機の前でその足が止まる。
(そういや、今朝買収したなぁ…)
オレは女子が好きそうな、フル―ツ系のパックのジュ―スを小脇に抱え教室に戻った。
「ひゃん!」
思いのほか女子な反応に、オレは自分の行動を反省した。
今朝(冗談で)
「悪い、そんなに感じるとは……」
「責任。取ってくれるんでしょ? こんな声出さして」
頬を押さえ恥じらいながら返す。
なかなかノリがいい女子だった。
名前は…正直知らない。
入学してかれこれ三週間過ぎようとしてるが、クラスの女子の名前で知ってるのはサブリナさんと、
「いいけど、今からか?」
「うん……って。
「そっちも、コレ」
「くれるの? 本気だったんだ。いいのに、ってか、これ選ぶ人いるんだ」
オレは手渡したジュ―ス「バナナショコラ」を見た。
うん、自分じゃ飲まない。
「おまえ、甘いのすきだろ?」
もちろん適当だ、なにせ名前も知らない。
「そうだけど、好きなのは甘いシチュエ―ションだからね?」
チッちっち! わかってないなぁみたいに腰に手を当て人差し指を振る。
「そう? じゃあ
「いやいやいや、普通に貰うからね? ありがと、言葉だけかと」
「言葉責め好きなのか?」
「ん……たぶん。嫌いじゃないよ、そんな…アンド・YOU?」
「ミ―ツ―」
すると彼女は手馴れた手つきでストロ―をさし、チュ―と一口飲んだ。
「
「明らかに褒めてないよな…」
「褒めるとかじゃなくて、ほら。君この辺のサッカ―界隈じゃ、パないでしょ? 弟もしてるの部活で。信じてくれないよ?
「顔出しNG? こんな感じ?」
オレは片手で目元を隠した。
芸能人がスキャンダルの時よくするアレだ。
「あれあれ…
オレは最初、目隠しではなくダブルピ―スをしようかと考えたが、しなくてよかった。
危うくヤリ過ぎるとこだった。
「
オレはどうも、姉という立場の女子に甘いかも。
それもこれも姉
「その自撮りツ―ショット、ちょっと待った‼」
ここで、自撮りツ―ショットに「ちょっと待ったコ―ル」が掛かった。
腕組して眉間に
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