第15話 園田さんの受難
(やっぱり「マタタビ」が含まれていたのかぁ。)
猫缶の成分表を眺め、眉間を抑える園田。
「…何かあったようじゃのう。」
背後からレミが話しかけてきたので、頷く園田。
「実は、『マタタビ』という猫を酔っぱらいに導く成分が含まれていたんですよ。」
「ほぉ~~。」
園田の話しに、半目開きのレミ。
その後、園田が色々と『マタタビ』の補足説明をしているが、レミの疑りの眼差しは変わらなかった。
「もうしばらくは、彼女らと行動をともにするしかないのじゃ。」
「なぜです?」
「このままじゃと、村落丸ごと嫁にもらわねばならぬぞ。」
「へっ?」
「じゃから、猫娘たちが漏れなく婚姻色まがいなのじゃ。」
「…なるほど。
発情期を無事やり過ごしたい…と。
これ以上ライバルが増えるのは、御免被りたいでしょうしね。」
園田との会話で、ようやく、レミが大きく頷く。
「…というわけじゃ。
今しばらくはご厄介になるぞ。」
そう言って、ユイに頭を下げるレミ。
居並ぶ、園田とリサも頭を下げる。
「いえ…こちらこそ、ご迷惑をおかけします。」
気まずそうに答えるユイ。
OL制服は何故か猫耳モフモフと相性が良いようで、園田がソワソワしている。
リサとレミは半目でそんな園田を眺めている。
「お仕置きかしら?」
「お仕置きじゃのう。」
リサが睨みつけ、レミも頷いている。
そして、園田に対するお約束の時間が始まる。
宿泊用のゲルを借り、三人が一部屋で生活している…ので、お仕置きもやりやすい。
というわけで、亀甲縛りに締め上げられ、床に転がされている園田。
その両脇には、黒いボンテージ姿のリサとレミがニコニコしながら、ムチの素振りをしている。
「あ、あのぉ…。そんな服、車に積んでありましたっけ?」
冷や汗をかく園田
「有るわけなかろう?」
素っ気なく答えるレミ。
「通りすがりの紳士から、チョロマカシたのよ。」
テヘペロをやってのけるリサ。
その背後にはスマキにされた初老の男性。
「な…。
人種の男性…。」
「ご名答っ!!
ハイ○ースをしきりに観察しておったので、そのまま拉致ってみたのじゃ。」
レミまで、テヘペロをやっている。
「…で、ちょ~~っとお話したら、気前よくその服をお借りできたというわけか?
イテっ!」
どうやら正解だったようで、二人からご褒美のムチを喰らってしまう園田。
「もぉ~、私らというものがありながら、鼻の下伸ばしちゃって!!」
リサのムチが炸裂する。
「痛い、痛い!!」
悲鳴を上げる園田。
「そうじゃぞ、主。
お主の妻は妾とリサだけじゃ!
よぉ~と、身体に教えてやらんといかんのぉ!」
リサに負けじとレミのムチも炸裂する。
「いっっったぁっっっ!!」
ちなみに、ゲルの外では、園田の悲鳴を聞いて何故か猫娘たちがソワソワしながら集まって来ていた。
お約束の時間が終わり、どうにか開放された園田とスマキの男性。
「あたた…。
まったく、手加減てものはないのかなぁ、うちのカミさんたち。」
「ご苦労ですね、ご主人。」
燕尾服を着た初老の男性が、園田から渡されたミルクティーを味わっている。
リサとレミは
のだが、黒いボンテージは殊の外、受けがよろしいらしく、談笑の後、どうやら他のゲルに行ってしまったようである。
ということで、リサとレミはしばしお留守ということになる。
「では、改めて自己紹介を…。」
初老の紳士がゆっくりと立ち上がり、頭を下げる。
「私はクロムウェルと申します。
ここより遥か西の国、スフラン王国から来ました。」
「これは、ご丁寧に。
私は、園田 幸次と申します。ここには無い…日本国福岡県から来ました。」
お互いに深々と頭を下げて同じ言葉を発する。
「失礼ですが、そこはどこですか?」
そして、少々まわりくどい自己紹介をお互いにすることになった園田とクロムウェルだった。
◇ ◇ ◇
ちなみに、リサとレミはといえば
「ほぉ~ほっほ、さぁ、女王様とお呼び!!」
と、猫娘たちの前で、色々と決めポーズを取っているのだった。
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