第10話 一次接触
「やはり、悪さをしてきおったか…。」
リサの報告に腕組みで答えるレミ。
「
言われるままにプレートを差し出す園田。
そのプレートを眺めながらニコニコするレミ。
なにかマジナイをかけた後、プレートを園田に放り渡すレミ。
「それで、獣人の情報は手に入ったかの?」
ハッとして青ざめる園田。
半目開きのリサとレミ。
「…まぁ、そんな気はしておったが。」
呆れるレミ。
ため息を付いてリサが、街で聞いてきた情報を話し始める。
「…ということは、あの子たちが言うように、この辺りを縄張りにしているのね。」
「そうだと思います。」
「主、今しばらくは、ここに滞在じゃ。」
「解った。」
「それと、買い出しは今まで通りじゃが、くれぐれもリサと
「わ、わかったよ。」
何故か子供のようにレミから諭される園田と、隣でクスクス笑っているリサとネコ娘たち。
獣人の出没ポイントに車を移動させ、当面の宿営地とした。
それから七日。
特に変化のないまま、また街への買い出し日が近づいてきた夜、いつも通り夜営をしている園田。
新月で月明かりは期待できず、生暖かい風が頬をかすめていく。
三脚にかかったトーチがかすかに揺れる風。
(嵐の予兆でしょうか。)
そして、風に乗ってくる微かな獣臭。
すると、車から降りてくるレミ。
「来よったかのう?」
「にしては、鉄…血の匂いもするんだが…。」
「そうじゃな。」
園田は釘打機、レミはチェンソー。
それぞれの
草原を疾駆する足音、草をかき分ける音が風上から近づいてくる。
「七、八人…?
後ろが、三人といった所かのぉ。」
「手前が本命で、後ろは排除対象ですかねぇ。」
「そうじゃなっ!」
言うが早いか、高く跳躍するレミ。
チェンソーの甲高い音に二組の動きが鈍くなる。
「こっちだぁ…。」
先頭集団へ大きく手を振り招きこむ園田。
子供を抱えた女性ばかり四人が倒れ込んでくる。
背後に見えてきたのは、化け猫!!
しかし、彼らがこちらに近づく前にレミのチェンソーが空から襲いかかる。
三つの悲鳴が上がり影が見えなくなると、レミがチェンソー片手にニコニコしながら帰ってくる。
返り血を大量に浴び、巨大な武器を片手にニヤニヤしているレミの姿に、瞬く間に気絶してしまう女性たち。
「ネコ獣人…ですね。」
「そうじゃな…。
しかし、これは群れから逸れた連中かもしれんのう。」
足元に気絶している女性たちを眺めながら話す園田とレミ。
「みなさん、大丈夫で…!!」
リサも車から降りてきて、ビックリする。
「大丈夫じゃ、命に別状はない。
それよりも、リサよ、先に転がっている『ブィルドキャット』の皮剥を頼めるか?
妾は、近くの小川で沐浴してくる。」
リサはナイフとライターを持って茂みへ走り、レミは林の向こうにある小川へ、そして取り残される園田。
やがて、車から恐る恐る降りてくるネコ娘たちだったが、どうも顔見知りでは無いらしく、園田の方に顔を向け、指示を待っているようだった。
「とりあえず、タオルで彼女たちの身体を拭いて下さい。」
ネコ娘たちは頷くと、車からタオルを取ってくると、一生懸命に体を拭いていた。
園田も、飲み物を準備するためにカセットコンロやヤカンなどを取り出していく。
作業を始めた頃、ゆっくりと陽が昇り始めた。
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