第107話
見ると、発行日は二年前の三月となっている。
はやる気持ちで雑誌を開き、その部分の記事に目を通すと、思ったとおりMMOゲーム『翼の帝国』について記されていた。
どうやら『翼の帝国』の監修には、天文学者や天文雑誌の出版社も携わっているらしい。
空に浮かぶ島が星のエネルギーを動力源としているという設定や、世界観や用語の編纂、ストーリー最大の謎であるモナドについてなど、翼の帝国の仕組みや魅力について開発者を招いて座談会が行われている。
また読者の中にもプレイヤーが多く、天文マニアやその分野に詳しい人間にとっては非常に興味深い内容が盛り込まれているらしい。
他にも芸能人のブログで取り上げられたり、テレビでも特集が組まれたことがあるようだった。
意外なところに接点を発見し、英理は雑誌を閉じた。
――間違いない。親父はこれで『翼の帝国』を知ったんだ。
パソコンを立ち上げ、再び翼の帝国にログインする。
起動するまでの時間がもどかしかった。
以前は凜にたしなめられて止めてしまったが、父が死んだ以上、このゲームの存在を知っているのは自分しかいない。
英理は父のキャラクターだったヴェリナスに成り代わり、翼の帝国にある父の情報を入手することにした。
まずユニオンを確認すると、今までヴェリナスが組んでいたメンバーが、プレイ時間の長い順にリストアップされている。
中でも、固定メンバーらしき三人の名前が真っ先に上がっていた。
一人目は、アリオン。
レベル54、職業は神官。白い裾の長い服を着た女性だ。
二人目はピコ、職業は剣闘士とある。
こちらはレベルが78で、金髪にグリーンの目をしており、腹や足を露出した服装の女性だった。
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