第66話

その他にもイベントのお知らせやら、Q&Aコーナーやら、ボップな字体と画像を含め、長々と文面は続いていた。


英理は一度メール画面を閉じ、インターネットで「翼の帝国」と入力して検索した。


すると、空の上に浮かぶ城を背景に、剣を持った少年やローブを着た少女が立っており、美しいBGMが流れ出した。


画面には、「オンラインファンタジーRPG」とある。


下のほうにスクロールしていくと、「ゲームの始め方」とあり、メールアドレスとユーザー名、パスワードを新規登録し、公式サイトからシステムをダウンロードして、ゲームを開始という流れになっていた。


英理自身はやったことがないが、どうやらちまたで流行っているオンラインゲームらしい。


綺羅綺羅しく彩られたホームページには、国内最大規模の参加者数と書いてあり、著名な芸能人のコメントが踊っていた。


このパソコンは父しか使っていないはずだ。


この部屋に弥生を入れるということは、父の性格と習性を考えても、あり得なかった。


しかし、父がネットゲーム?そんなものに興味を持っている姿が想像できない。


半信半疑でドキュメントフォルダを探っていると、ご丁寧に「パスワード」と書かれたテキストデータが現れた。


そこにはこのパソコンのメールアドレスと、半角英数字のパスワード、その下にユーザーIDとしてこう記されていた。


『ヴェリナス』と。






























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