第61話

将来的に凜と結婚することは考えているし、もう少し蓄えも増えて経済的な基盤が整ってからとは思っているが、どうやら結婚式も新婚旅行もとてつもなく費用がかかりそうだ。


正直いろいろと面倒くさいし、今から先が思いやられる。


それでも、貯めておかないとなと思う。


一生に一度の結婚式、夢が叶った彼女の喜ぶ姿が見たい。


父は、そうは思わなかったのだろうか。


式を挙げて、そこで誰を呼ぶかと考えたときに、来てくれる人の顔が思い浮かばなかったのだろうか。


だとすれば、少しは負い目を感じているということになりはしないか。


周囲に祝福されていない結婚でも、幸せになることはできる。


だが父はともかく、弥生は幸せになりたいと望んでいるのだろうか。


それが分からないことが、そして、こうしたいという願いや思いをはっきりと手のひらに感じられないことが、いつまでも英理の胸を不安でうずかせる要因なのかもしれなかった。























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