第3話
かくして毎度のようにパソコンをフリーズさせる天才や、社内外を問わず機密メールを誤送信してしまう人騒がせな爆弾魔が大量発生してやまないのである。
「部長。それ、プリンターが壊れたんじゃないみたいですよ」
近くの席で知らぬ存ぜぬを通していた男が、さっと立ち上がって言った。
熊のように図体がでかく、いつもにこにことしていて打たれ強い。
入社七年目で名前は
楢崎はプリンターから資料を取り出すと、手際よく入れ替えてボタンを操作する。
紙は耳障りな音を立てて吸い込まれてゆく。
「PDFファイルを格納するフォルダと接続が切れて、エラーになってただけみたいですね。うん、これで大丈夫です」
と楢崎は言い、英理に、
「向井、入ってるかどうか確認して」
部長は精一杯の威厳を保つための涙ぐましい努力で渋面をつくって腕を組み、楢橋の作業を見守っている。
英理は自分のパソコンから社内のデータを管理するパソコンにアクセスし、無事PDFファイルが格納されていることを確認すると、楢崎にそれを伝えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます