十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑯
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑯
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑯
「それじゃあ、飲み物も行き渡ったからね!!乾杯をしようか!!」
体育祭を終えた俺たちは、制服に着替えたあとサイセリアに集まっていた。
実行委員と生徒会としてのあと片付けは、流が手伝ってくれたので早く終わった。
そして、桐崎さんがお兄さんの誘いでは無くこちらに来る。
そのことを伝える役割は、俺かなと思っていたけど流が伝えに行くと言っていたので、任せることにした。
二人が話してる様子を遠巻きに見ていると、そこまで険悪な感じには見えなかった。
流のことを少しは認めてる。そんな感じがした。
きっと、リレーの時の応援が聞いてるのかもしれないな。
そして、俺たちは自転車に乗って駅前のサイセリヤにやってきた訳だ。
注文は軽食とドリンクバーを頼んで少しだけ長居をするようにした。
各々ドリンクバーの飲み物を片手に、桐崎さんの音頭を待つ。
「それでは!!一年二組の学年優勝を祝して!!乾杯!!」
『乾杯!!お疲れ様でしたーーー!!!!』
カン!!
俺と永久と凛音。桐崎さんに流の五人はコップを打ち合わせた。
「いやー!!お疲れ様でした!!色々あったけど楽しい体育祭だったねー!!」
「あはは。流石に結婚式には驚いたけど……」
楽しそうに笑う桐崎さんに、俺は少しだけ苦笑いを浮かべながら言葉を返す。
「そうね。流石の私もあれにはドン引きよ。反省文で済んで良かったんじゃないかしら?」
「そうは言いますけど、凛音さんの身の上話の放送も反省文でしたよね。似たようなものだと思いますよ?」
そう。あの昼の放送も『やり過ぎだ』との事で先生からお叱りを受けた凛音は、ぶつぶつ文句を言いながら反省文を書いていた。
「はぁ……まぁそうね。お互い様。ということにしておきましょうか」
「ふふふ。そうですね。もし良ければ反省文のプロの凛音さんに反省文の書き方を教えて貰っても良いですか?私、書いたことがないんですよ」
「私だってあれが初めてよ!!……まぁそうね。適当にごめんなさいって書いとけば大丈夫よ」
俺はポテトをつまみながら両サイドの二人のやり取りを聞いていた。
俺の正面では、流と桐崎さんが仲良さそうに話をしていた。
まぁ、永久と凛音も険悪な感じでは無いから別にいいかな。
俺はそんなことを思いながら、氷を入れてないコーラを一口飲んだ。
「ねぇねぇ。そろそろ中間テストだよね!!」
少しだけポテトが冷め始めた頃。桐崎さんがそう言って切り出した。
「そうね。入試では貴女たち二人の後塵に拝したけど、今回は私が勝つわよ」
「ふふふ。凛音さんにも桐崎さんにも首席の座は渡すつもりはありませんからね」
学年の一位から三位がここにいるってのは中々すごいとは思うよな。
「そう言えば流も勉強が得意だったよな」
「そうだね。部活もしないでゲームをする条件として、成績は上位じゃないとダメだって話をされてるからね」
やべぇな。そうなるとこの場で勉強が出来ないのは俺だけじゃねぇか…
「ふふふ。もし良かったら、放課後に皆で勉強会でもしませんか?」
「悪くないわね。霧都は地頭は悪くないからきちんと教えてあげればそれなりのレベルには持っていけるわよ」
そうだな。凛音の言うように、野球部を引退してからはずっとコイツと勉強してたからな。
「永久ちゃんが言うように、皆で勉強会をしようか?って話をしようと思ったんだよね」
「私は構わないわよ」
「そうですね。私も賛成です」
「俺も賛成かな。家に居るとゲームをしてしまうかもしれないからね」
凛音と永久。それと流が賛成した。
残るは俺だけど、反対する理由なんか無いな。
「勉強会をして貰って一番助かるのは俺だからね。わからないところは聞いて行こうかな」
授業は真面目に受けてるから平均点くらいは取れると思ってる。
でも、次期生徒会長として平均点では情けないとは思うからな。
桐崎先輩のように学年トップレベルとは言わないけど、せめて二桁くらいには入っておきたい。
「それじゃあ試験期間になったら放課後は図書室で勉強会だね!!体育祭では学年優勝をしたからね、中間テストのクラス平均もトップを目指そうね!!」
桐崎さんの言葉に、俺たちは首を縦に振って了承を示した。
「それじゃあみんなお疲れ様。俺は永久を駅まで送っていくね」
「ありがとうございます、霧都」
「俺も桐崎さんを家まで送って行くよ」
「えへへ。ありがとう、星くん」
「私は駅前でバスケ用品の買い物があるから、そこに寄ってから帰るわね」
サイセリアを出た俺たちは、各々の目的に反って分かれた。
「今日は本当に驚いたよ、永久」
「凛音さんの残したインパクトに対抗するにはこの位は必要かと思いましたので」
彼女の帰る最寄り駅に到着し、ベンチに座って少しだけ話をすることにした。
あまり遅くなると変な輩が出るから、そこまで長話をするつもりは無いけど。
「あと、中間テストで凛音さんに負けるつもりはありませんからね。もちろん、桐崎さんにもです」
「あはは。ハイレベルな戦いになりそうだね。俺も次期生徒会長として恥ずかしくない成績を残せるように頑張るよ」
駅前の時計を見ると十八時を示していた。
そろそろ辺りも暗くなってきた。
別れた方が良さそうだな。
「それじゃあ永久。そろそろ帰ろうか」
「そうですね。寂しいですが、あまり遅くなると霧都に心配をかけてしまいますからね」
永久はそう言うと、俺の方を向いて目を閉じる。
軽く確認すると辺りに人は居ない。
少しだけ安堵を覚えながら俺は彼女にキスをする。
そして、永久が満足するまで唇重ね合い、それを離す。
「愛してます、霧都」
「俺も愛してるよ、永久」
彼女はそう言うと、ベンチから立ち上がり駅の方へと身体を向ける。
「夜にはメッセージを送ります。それではまた明日、この場でお会いしましょう」
「うん。じゃあね、永久。気を付けて帰ってね」
俺と彼女はそう言って別れを告げた。
駅の中へと姿を消した彼女を見送り、俺はベンチに腰を下ろした。
「本当に……今日は色々なことがあったよ……」
永久と結婚式を挙げた。
そして石崎と言う友達が増えた。
明日からは中間テストに向けて勉強をして行かないとな。
今回の体育祭では永久の本気をたくさん味わった。そんな一日だったな。
俺はそう思いながら、家へと帰って行った。
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