十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑮
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑮
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑮
「どうもありがとうございます。霧都のお陰で勝つことが出来ました!!」
綱引き勝負に決着がついた後。俺の元に永久がやって来た。
「あはは。永久にアクシデントがあったとわかったからね。ここのままじゃ君が戦犯になってしまうと思ったから、全力以上の力を出せたよ」
「ふふふ。そう言って貰えると助かります」
なんて話をしながら笑いあっていると、後ろから凛音がやれやれと手を広げながらやってきた。
「隣で永久が尻もちを着いた時にはびっくりしたわよ。まぁ怪我が無くて良かったじゃない?肉付きの良いしりが役に立ったわね」
「そうですね。凛音さんはお胸もおしりもお肉が足りてませんからね」
「な、なんですって……」
「真実を言ったまでですが?」
何となく、一触即発な雰囲気を感じ取ったので、俺は仲介に入ることにした。
「なぁ、せっかく学年優勝が決まったんだからさ、少しは仲良くしようぜ……」
「まぁそうね。結果的には永久のお陰とも言えなくはないわよね」
「霧都の愛の力と言えるかもしれませんからね。ふふふ。凛音さんではこうはいかなかったかも知れませんからね」
「永久……」
「ふふふ。何ですか、凛音さん?」
パンパーン!!
まだまだやり取りが足りてないような二人の会話を遮ったのは、教室で聞きなれた拍手の音だった。
「ほらほら!!二年生の綱引きが始まるよ!!自分たちのクラスの場所に戻ろうよ!!」
「桐崎さん……」
「はぁ……そうね。先輩方の邪魔をする訳にはいかないわね」
桐崎さんのその言葉に、二人は納得したような表情で自分たちのクラスの場所へと歩いて行った。
「あはは……流石だね、桐崎さん。助かったよ」
二人の背中を見送りながら、俺は桐崎さんにお礼を言った。
「あはは。もう二人のやり取りには慣れてきたからね。それに、そこまで険悪な感じでは無いようにも思えるかな?ある種のコミュニケーションにも見えるよ」
「少しばかり心臓に悪いコミュニケーションだとは思うけどね……」
そう言った後、俺は桐崎さんに先程話に出ていた『打ち上げ』の話をすることにした。
「この後なんだけどさ、もし良かったらいつものメンバーで打ち上げをしないか?って話が出てるんだよね。桐崎さん的には大丈夫かな?」
「いつものメンバーって言うと、君と永久ちゃんに凛音ちゃん。私と星くんって感じかな?」
「そうそう。そのメンバーでサイセで集まらないか?」
桐崎先輩達と一緒に打ち上げに行く可能性が彼女にはあるからな。来てくれるとは思うけど、確証は持てないんだよな。
なんて思っていると、桐崎さんは笑顔で答えてくれた。
「うん。良いよ!!おにぃからも誘われてるけど、あの中に私が居てもアレだと思うしね」
「そうなんだ、先輩方には悪いとは思うよね。でも、ありがとう。こっちに来てくれるのは嬉しいよ」
俺がほっとしたような声でそう言うと、桐崎さんは苦笑いをして言葉を返す。
「まぁ、私が行かないとあの二人の仲介人が居ない。ってのもあるよね……」
「桐崎さんには苦労をかけるよ……」
「あはは。でも嫌じゃないから気にしないで良いよ」
「ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」
なんて話をしてから、俺は桐崎さんと話を終えて放送席へと戻って行った。
「おかえり、ヒーロー!!君の活躍で学年優勝を決めたのは中々カッコよかったよ!!」
「あはは、ありがとうございます。永久にアクシデントがあったと知って、全力以上の力が出ましたよ」
放送席に戻ると、三郷先輩が笑いながら俺を出迎えてくれた。
「これは今回の体育祭のMVPは君に決定かな?」
「それはどうですかね。まぁ、問題を起こした生徒なら俺が一番かと思いますが」
体育祭を私物化して結婚式なんて挙げたんだ。
それに、全校生徒に見守られてグラウンドのど真ん中で永久とキスをした。
ははは……モーストでは無く問題児かもしれないよな。
なんて思いながら俺は二年生の綱引きの実況を無事に終えた。
「じゃあ桜井くん。私は自分のクラスに行ってくるよ。実況は宜しくね!!」
「はい。怪我に気をつけて頑張ってくださいね!!」
俺はそう言って三郷先輩を見送った。
さて、三年生の実況は俺が一人でやる事になってるからな。
気を引き締めてやる事にしよう。
そう考えていると、俺の元に桐崎先輩がやって来た。
「綱引きでは大活躍だったじゃないか、桜井」
「桐崎先輩、こんな所にいていいんですか?もう綱引きが始まりますよ」
俺がそう言って後ろを振り向くと、先輩は笑いながら言葉を返す。
「少しくらいなら話す時間はあるからな。先にお前には伝えておこうと思っていたんだ」
「伝えておきたいことですか。閉会式の挨拶は俺がやれ。とかですか?」
俺が少しだけ目を細めながら言葉を返すと、先輩は軽く手を振りながらそれを否定した。
「いや、違うぞ。それは俺がやろうと思ってる」
「だとしたらなんですか?」
俺の疑問に対する先輩の答えは、少しばかり予想はしていたけどため息が出ることだった。
「この大会のMVPは桜井霧都に決定した。その時のコメントを考えておいてくれ。その話をしに来たんだ」
「……活躍の度合いなら、桐崎先輩や武藤先輩が妥当かと思いますが?」
「仮に綱引きで俺のクラスが優勝しても、残念ながらこの点差なら白組は負けてしまう。MVPは勝った組から出すのが常だ。赤組のお前になることは既定路線と言えるだろう」
「なるほど……わかりました」
俺がそう言うと、桐崎先輩は笑いながら背中を叩いてきた。
「それじゃあ、コメントに関してはお前に全部任せるからな。『多少の問題発言なら構わない』そう言っておく」
「あはは……そうですか」
当たり障りのないコメントは許さないからな?
なんて意味だろうな。
「じゃあな、桜井。俺の活躍をしっかりと実況してくれよな」
「わかりました。ハーレム王の活躍をしっかりと実況しますよ」
なんて言葉を返すと、桐崎先輩は特に気にした様子もなく自分のクラスへと戻って行った。
「……さて。実況をしながらMVPのコメントを考えておかないとな」
俺はそう呟いて、マイクを握りしめる。
『さぁ!!海皇高校体育祭もいよいよ最終種目です!!三年生による綱引きになりました!!赤組の勝利が決まっている状況下ではありますが、学年優勝はまだ決まっていません!!三年生の学年優勝は何処になるのか!!熱い戦いを期待します!!』
こうして始まった三年生の綱引きは、やはりと言うかなんと言うか、桐崎先輩のクラスの圧勝で決まった。
先輩のライバルのクラスである星くんのお兄さん。明さんがリレーで怪我をして見学に回っていたのが敗因だと思ってる。
こうして海皇高校体育祭は、赤組の勝利と俺のクラスの学年優勝で幕を閉じた。
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