十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑧
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑧
第七話 ~北島永久の逆襲・体育祭では彼女の本気を味わいました~ ⑧
『さぁ!!やって参りました、午前の目玉種目の借り物競争の時間です!!』
三郷先輩の言うように、この借り物競争は午前の部の最後の種目で一番の目玉だ。
この種目で告白まがいのことが起きたり、とある先生の頭髪事情が明らかになったり、昨年では桐崎先輩が黒瀬先輩と藤崎先輩とキスをして、堂々と二股宣言をするなど波乱が巻き起こる種目だ……
そして、永久さんから『借り物競争では霧都くんを連れて行きます』と宣言されている。
その方法は、黒瀬先輩から薫陶を受けているようだ。
はぁ……一体俺は何をされるんだろうな……
とりあえず、全校生徒の前でキスをする。
くらいの覚悟はしている。
『毎年この種目では波乱が巻き起こっていると聞いていますね。昨年は桐崎先輩がとんでもないことをやらかしたと伺ってます』
『去年はハーレム王がグラウンドのど真ん中でキスをして、学園の美少女二人を相手に堂々と二股宣言をする。という事件が起きだよね。今年は一体何が起きるのか!!ちなみに、桜井くんの彼女もこの種目に出場予定だね?』
『はい、そうです。短距離走で2位だった俺の分まで、永久さんには頑張ってもらいたいですね』
俺がそう言って彼女に視線を向けると、永久さんはふわりと笑って俺に手を振ってくれた。
『ヒューヒュー!!ラブラブっぷりを見せつけやがって!!』
『あはは……』
そんな会話をした後、借り物競争が始まる時が来た。
『それではこれより、借り物競争スタートです!!』
位置について……
よーい……
ドン!!
第1レースの走者の永久さんはお題が書いてある封筒の元へと走っていく。
そして、身体で隠すようにしてポケットの中から取り出した『自身が用意した封筒』と本物の封筒をすり替えた。
ふ、不正じゃないか……っ!!
黒瀬先輩から教えて貰った方法って、そんなやり口だったのかよ……
だが、そこまでしてでも永久さんは俺をゴールに連れて行きたかったのか……
そして、永久さんは自身が用意した封筒からお題の紙を引き抜いた。
そのお題に目を通した彼女は、笑顔でこちらに向かって走って来た。
『おおっと!!桜井くんの彼女が笑顔でこちらに向かってきてるよ!!』
『もしかしたら、マイクとかかもしれませんね』
と、俺はすっとぼけたことを言っておく。
可愛らしい走り方で放送席までやって来た永久さんは、俺に向かって微笑みながら手を伸ばす。
「霧都くん。私と一緒に来ていただけますか?」
『おおっと!!北島永久さんのお題は桜井霧都くんのようだぞ!!これはもしや去年の再来か!!』
『愛しの彼女に呼ばれたのでちょっと行ってきますね』
俺はマイクをポケットの中に入れて、グラウンドへと足を踏み入れると永久さんと手を繋ぐ。
辺りから歓声が巻き起こった。
「ふふふ。皆からの視線を浴びてますので、緊張してしまいますね」
「ははは。俺も足が震えてるよ」
そんな話をしながら、俺は永久さんとゴールを目指す。
そして、四組中4位でゴールテープを切った。
つまり……ビリだ。
かなりのんびりと歩いてゴールを目指したからなぁ……
『それではお題を見せて貰えますか?』
ゴールで待っていた人に永久さんがお題の紙の提出を求められたが、首を振って拒否をした。
『……え?な、何でですか?』
「と、永久さん?」
「ふふふ……お代は私の口から話しますね?」
永久さんはそう言って、妖艶な笑みを浮かべた。
そして、俺のポケットに入れていたマイクを手にして喋り始める。
『皆さんこんにちは、桜井霧都くんの彼女の北島永久です。借り物競争では残念な順位に終わってしまいましたが、彼と手を繋いでゴールをすることが出来たので満足しています』
なんて語り口で、彼女は話を始めた……
『さて、ここで私が手にしたお題を発表したいと思います』
永久さんはそう言うと、お題の書かれた紙を広げた。
まぁて普通の人なら見えないな。
だが、俺には透けて見えた。
そこには……
『私のお題は『未来の夫』です』
永久さんの声に、グラウンドからは黄色い歓声が巻き起こった。
凛音は憎々しい目でこっちを見ていた。
確か、去年の黒瀬先輩は『愛している人』と言って桐崎先輩を連れ出したんだよな。
『桜井霧都くんは私の未来の夫です。彼とは結婚して『本当の家族』になる予定です。そして、少し気が早いと思いますがこの場を借りて『彼との結婚式』をしたいと思います』
……ははは。そうか、そう来たか。
永久さんはこちらを振り向くと、ふわりと笑う。
俺の嫁さんはとても綺麗な女の子だな……
そして、これは彼女の仕込みなのかな?
桐崎さんと流が笑顔でこっちに向かってきた。
「あはは。桜井くんは驚いてるよね?これ全部永久ちゃんの仕込みだから」
「うん。わかってるよ。彼女の愛の深さを存分に堪能してるよ」
俺がそう言うと、桐崎さんは苦笑いをしながら言葉を返した。
「私は永久ちゃんから『立ち会い人』を頼まれてるんだ」
「そして俺は『牧師』をやることになってるんだよね。はぁ……とても荷が重いけど、親友の為に頑張るよ……」
「あはは……ありがとう流」
そして、桐崎さんは永久さんからマイクを受け取った。
『皆さんこんにちは!!生徒会長の桐崎悠斗の妹の桐崎雫です!!この私が桜井霧都くんと北島永久さんの結婚式の立ち会い人となります!!』
そう言ったあと、桐崎さんは流にマイクを渡した。
『み、皆さんこんにちは……明兄さんの弟の星流です……お、俺はこの結婚式の『牧師』を務めさせてもらいます……』
そして、流は俺たちの方を向いて言葉を続けた。
『新郎 桜井霧都、あなたは北島永久を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
「はい!!誓います!!」
野球部で鍛えた俺の大きな声が、グラウンドに響き渡る。
『新婦 北島永久、あなたは桜井霧都を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
「はい。誓います」
永久さんはそう言って、ふわりと微笑んだ。
『それでは、誓いのキスをお願いします』
流の言葉で、俺と永久さんは抱きしめ合う。
「はぁ……君の愛の深さには驚かされてばかりだよ」
「ご迷惑でしたか?」
「いや、全然。とても嬉しいよ」
「ふふふ。ありがとうございます」
「愛してるよ、永久」
俺はそう言って、彼女を呼び捨てにした。
「私も愛してます、霧都」
彼女も俺を呼び捨てにしてくれた。
そして、俺と永久はグラウンドのど真ん中で誓いのキスをした。
桐崎さんが一番最初に拍手をしてくれた。
その後、グラウンドは割れんばかりの拍手と黄色い歓声で埋め尽くされた。
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