十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第二十話 ~星くんのお兄さんは、彼の扱いを熟知しているようです~
第二十話 ~星くんのお兄さんは、彼の扱いを熟知しているようです~
第二十話
「男子の学級委員には『
桐崎さんのその一言に、一人だけ身体を震わせていなかった星くんが、ビクリと身体を震わせた。
机の下でスマホゲームをしているのがこっから見えていたので、きっと彼は教室での出来事を何も聞いてなかったんだろうなぁと思っていた。
「星くん!!私と一緒に学級委員をやろう!!」
突然の出来事に星くんは慌てて声を上げる。
「え、な、な、な、なんで……」
そんな彼に、桐崎さんはニコリと笑う。
「君のお兄さんがね、うちのおにぃに『依頼』をしたみたいなんだ」
「あ、
その声に桐崎さんは首を縦に振る。
「『俺の弟が今年からうちの高校に入学したんだが、内気で人見知りなままでは心配なんだ。どうにかしてくれないか?』と君のお兄さんが言っていたんだよね。なので!!」
ビシ!!っと桐崎さんは星くんを指さした。
「君のお兄さんからの依頼だ!!学級委員を一緒にやろう!!」
「や、やだ……」
当然ですよねぇ……
いや、話を聞いてたけど、流石に強引過ぎるだろうって思うよ……
だが、桐崎さん的にもこの展開は予想通りだったようで、特に気にした様子が無かった。
「んふふー星くんがそういう事はわかってたよ?」
「……え?じゃあ、他の人に……」
そういう星くんに、桐崎さんは『りんごのカード』を見せる。
「君のお兄さんからの追加の伝言だよ?『流。君が学級委員を頑張ってくれるなら、毎月一枚だけ、好きな金額でこのカードを買ってあげよう』だってさ」
「やります!!」
即答する星くん。現金じゃないけど現金だなぁ……
「桐崎。先生の前で買収はやめなさい。まあ、今回だけは見なかったことにしよう」
「はーい!!」
先生とそんなやり取りをした後、桐崎さんと星くんは教壇の前に立った。
「学級委員をやります桐崎雫です!!精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!!」
桐崎さんはそう言うと頭を勢いよく下げた。
「星流です……皆さんに迷惑だけはかけないように頑張ります」
と星くんも頭を下げた。
内気ではあるけど、責任感はあるタイプなんだな。
そんな感じがした。
「じゃあ、これから各委員を決めていくよ!!私が司会進行をします!!星くんは書記をしてもらえるかな?」
「うん。そう言うのなら得意だ」
彼は少しだけホッとしたように返事をすると、黒板に先ずは決まった委員を書いていく。
『学級委員』
星流・桐崎雫
字が綺麗だな!!
びっくりするほど綺麗な字に、クラスメイトが少しだけどよめいた。
「とても綺麗な字です」
「うん。俺も驚いたよ」
そんな話をした後に、俺は北島さんに聞く。
「北島さんは何か委員に入るのかな?」
その質問に、彼女は首を横に振った。
「いえ、入りません。生徒会に入る予定ですので。それに、もう一つ理由があります」
「もう一つの理由?」
俺がそう言うと、北島さんは俺の耳元で囁いた。
『あなた以外の男の人とペアにはなりたくないです』
委員は基本、男女のペアだ。
俺が委員にならない以上、彼女が何かの委員になるなら『俺以外の誰か他の男』とペアになる。という事だ。
うん。絶対に認められないな。
何故こんなことに気が付けなかったんだ俺は。
迂闊過ぎるだろ。
俺は北島さんの耳元で返事をする。
『北島さんは委員に入るのは禁止だから。君が俺以外の男とペアになる?そんなことは俺が絶対に許さないよ』
その言葉に、彼女は顔を赤くして、小さく首を縦に振った。
よし、これで一安心だな。なんて思っていると、
「ねぇ、そこの『次期バカップル』」
「「……っ!!??」」
桐崎さんの冷めた声に、俺と北島さんはビクリと身体を震わせる。
「いや、イチャイチャするなとは言わないよ?でもさ、時と場合と場所を選んで欲しいなぁ……ねぇ?」
「「は、はい。すみません……」」
俺と彼女は桐崎さんに申し訳なく思いながら頭を下げた。
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