少し、ほんの少し

やまの ゆき

第1話 自覚

母と喧嘩した時に、「だったら、産まなきゃ良かったじゃん!」と言ったら、『私だってこんな子が生まれるなんて思っていなかった。』と母に言われた。頭を鈍器で殴られた感覚がした。視界が歪み自分がちゃんと立てているのかが分からなくなった。結局私は誰からも必要とされていない。いらない存在なんだ、役に立たないものなんだと自覚した。私は何もない。勉強も、運動も得意な訳では無い。特殊なことなども出来ない。特技もない。性格が優しいわけでも、見た目が美しい訳でも無い。私は一体なんのために生まれてきたのだろう。誰にも必要とされない私はなんのために生きているのだろう。私が生きているだけで金、資源が減る。私がいることは、無駄遣いなのだろうか。私が全部いけないんだろうか。育て方、環境は、関係ないのだろうか。すべて私のせいなのだろうか。私だってこんなふうになりたかった訳では無い。優しくて、明るくて、可愛らしい人になりたかった。頑張ってなろうとしたが、みんなに『気持ち悪い』『変』と言われるだけだった。なんだか、全てが嫌だ。 それを普段は気づかないフリをしているのに、どうしてもフリをできない時がある。それもダメなのだろうか?悩みを言えない。溜め込んじゃう。感情を我慢する。それはいけないことなのだろうか。言えないように育てた親、言えないような人達が沢山居た環境などは、関係ないのか。私がおかしいのか。結局は、全部私が悪いということはわかっている。でも、少しでも、誰かに必要とされたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る