第21話 いつまでも待ってる ※セドリック視点
シルヴェーヌとロゼッタの行方について判明した。どうやら、他国で冒険者として活動しているらしい。セアとレイという偽名で。
報告を聞いた時、俺はとても驚いた。彼女達のような女性が、冒険者なんて乱暴な仕事が務まるのだろうか。そう思った。
だが、話を聞いてみると大活躍しているらしい。しかも、あの事件が起きる前から隠れて活動していたという。その時も、見事な仕事ぶりだったそうだ。信じられない事実だった。
なんで彼女達は、隠れて冒険者なんてやっていたのだろうか。なぜ俺に教えてくれなかったのか。シルヴェーヌもロゼッタも、俺に黙っていたことが許せない。それを見抜けなかった自分にも腹が立つ。それが分かっていたら、あの事件の結末も少しは変わっていたのかもしれない。俺の現状も、もっと良かったはずなのに。つくづく、自分の無力さを痛感した。
終わってしまったことは仕方ない。反省はしても、後悔はしない。彼女達の行方も分かったから、これからの事を考えよう。
居場所が分かったので、色々なルートで連絡を取ろうと試みた。伝令を使ったり、商人を雇ったり、ギルドを通して依頼を出したり色々な手段で。だけど、どの方法を使っても連絡が取れなかった。彼女達に拒否されてしまった。
だが、仕方ない。冒険者として大活躍している彼女達は現在、他国で影響力のある重要人物になってしまった。だから、気軽に戻ってこれるような立場ではなくなってしまったのだろう。
それに今は、色々とタイミングも悪い。
大活躍している冒険者のセアがシルヴェーヌだと知ったベルジュロン家は、彼女の除名を取り消した。そして今更になって両親が、素晴らしい娘だったと色々な場所で自慢気に語っているようだ。まるで、彼女の手柄も自分達の功績だというように。
シルヴェーヌが戻ってきたら、こき使うつもりなのだろう。
ミレニア家も同じような感じで、ロゼッタの事を都合のいいように利用するつもりみたいだ。
そんな人達が大勢待ち構えているから、今は戻らなくて良いだろう。だから俺は、このまま何もせず待つことにした。彼女達が戻ってくるまで、ずっと。
そして、彼女達に再会したら俺から謝ろう。突然、婚約を破棄してしまったこと。急にプロポーズしてしまったことを。自分勝手な行動だったと、今は反省している。
いつか、この後悔の念を晴らせる日が来ることを、俺は信じていた。
彼女達が戻ってきて、再会できる日が必ず来るはず。その時、絶対に失敗しない。今度こそ絶対に。
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