③不死の魔女は天上に憧れる

蒼井美紗

プロット

◯タイトル


「不死の魔女は天上に憧れる」



◯あらすじ


 その世界はかつて、魔法技術によって人類が繁栄を築いていた。しかし圧倒的な繁栄を築いていた人類は、一夜にして滅亡する。魔力枯渇という予測不能な災害によって。


 ――しかし人族としてただ一人、不死の魔女だけは生き残った。


 人類がいなくなった世界に取り残された他種族は動き出す。ある者はその原因を探るために、ある者は人族がいなくなった穴を埋めるために、またある者はただ変わった世界を楽しむために。


 世界を統治していた種族がいなくなった世界は、どこへ向かうのか。そしてそんな世界に一人取り残された人族の魔女は、どう世界に影響を及ぼすのか。


 ――これは、世界の謎に迫る物語である。



◯世界観

魔力が世界中に溢れていて、その魔力をさまざまな現象に変換させる魔法という技術が発展していた世界。人類は大気中に満ちた魔力を用いて魔法を使っていた。

さらに魔鉱石という魔力との親和性が高い鉱石も存在し、それによって便利な魔道具がたくさん作られていた。

そんな世界に住んでいたのは人族、獣人族、魚人族、竜族、精霊、妖精など多種多様な種族。その中でも圧倒的に人族の数が多く、世界は人族を中心に発展していた。


しかしそんな世界で、ほぼ一夜にして人族が滅亡する。理由は魔力枯渇。人族は生命維持のために外部からの魔力を取り込まなければ生きていけず、魔力が枯渇した世界では生きられなかった。

他の種族は自らの体内に魔力を作り出す機構を持っていたので、魔力枯渇では生き残ることができた。


知能を持つ種族以外にも多種多様な生物が存在している。しかしそれらの生物は魔力を扱えない代わりに魔力による影響も受けなかったので、魔力枯渇による絶滅からは免れた。


魔法の種類は属性などで明確に決まっているわけではなく、使用者の技量次第で様々な現象を発現させられる。


季節の移り変わりがあり、一年は十二ヶ月で一ヶ月は三十日、一日は約二十四時間という暦が存在している。



◯主要キャラクター


・ウィルナ 


主人公。稀代の魔女と呼ばれていた魔法の天才。

不老不死という特異な能力を持っていたため、魔力枯渇による人類滅亡からただ一人、人族として生き残った。不老不死の恩恵なのか、尽きることのない魔力も持ち合わせている。

見た目は二十歳程度の女性だけど実年齢は千歳を超えている。

銀色のロングヘアに金色の瞳。長い時を生きていたからか、落ち着いていて感情が揺れ動くことは少ない。しかし可愛いものが好きで、可愛いものを見た時には微笑みを浮かべる。笑顔はレア。


一千年以上前、生後数日で捨てられていたのを村に住む老夫婦が拾い、大人になるまで育てられた。実の両親のことは知らない。

成長が止まったのは二十歳になってから。二十歳を超えて十年間全く見た目が変わらず、不老に気付いた。

百歳を超えた頃にこのままだとずっと死ねないのではと思い、自分を攻撃してみて何をしても傷つけられないことに気づいた。それから数年色々なことを試し、自分は不老不死だと悟った。

どんな攻撃も体表の結界のようなものに阻まれる。毒を飲んでもなんの影響もない。水や食料を摂取しなくても生きていける。呼吸を止めても問題ない。


今の一番の願いは、死後の世界と言われている天上に行くこと。その方法をずっと探しているけれど未だ見つかっていない。


「天上とは……どんな楽園なのかな」

「私はウィルナと申します。ただの人族です」



・リーディア


精霊。性別はない。

ウィルナが人類滅亡に気付いてから初めて出会った生きているもの。人間の手のひらに乗る程度のサイズで、人型に羽がついている。豪奢な金髪に緑の瞳。精霊はどんな姿にも変化できるけど、リーディアは妖精族が好きで妖精の姿をとっている。

好奇心旺盛な性格で、不老不死のウィルナに興味を持ち共に行動する。植物魔法が得意。嗜好品として魔力を好み、ウィルナの魔力が大好き。普通に食事もできる。


「ウィルナ、こんなの見つけたよ」

「僕も一緒に行く! 海の中なんてわくわくするね!」



・ファウスティノ


竜族の男

魔力枯渇の原因を探るために世界を旅しているところをウィルナと出会う。人型にもなれるが基本的には大きな竜の姿。学者気質で興味があることに一直線、周りが見えなくなることもある。人型の時はすらっとした細身の長身で、長い黒髪を後ろで一つに纏めている。

竜族は三千年ほど寿命があるが、まだ二百歳ほどの若造。


「お前はなぜ生きている?」

「不老不死。ふむ、とても興味深い。そのような存在がいたとはな」

「我に乗ると良い。特別に乗せてやろう」




◯物語構成


全七章構成の予定です。


序章 消えた人類と精霊

山奥で一人住んでいたウィルナが半年ぶりに街に降りると、そこには誰一人生きている人間はいなかった。誰もが白骨化していて、街は自然に飲み込まれ始めていた。ウィルナは愕然としながらも街の中を見て回り、その原因を探って生きている人間がいないか確かめようとする。

そうして人族の街を巡っていると、精霊のリーディアに出会う。そしてリーディアから半年前に起こった魔力枯渇による人族の絶滅を知らされる。ウィルナは自らの魔力が無限に湧いてくるので、世界に満ちている魔力を意識したことがなく気づかなかった。

リーディアから話を聞いたウィルナが出した結論は、魔力枯渇の原因を探ること。なぜならここ数百年のウィルナの願いは、死後の世界に、天上に行くことだから。魔力枯渇のような大規模な災害が起きた原因を探れば、自分が天上に行く方法に辿り着けるかもしれないと思った。


第一章 霊峰の頂上

ウィルナは原因を探るためにまず、霊峰というこの世界で最も天上に近いと言われている場所に行ってみることにした。今までは人族の信仰の対象で立ち入り禁止となっていたため、調査をしたことはなかった。ウィルナならバレずに入ることも可能だったけど、まだ他に調べていない場所もあるため後回しにしていた。

その霊峰で竜族のファウスティノと出会う。そして不思議な材質の石とそこに刻まれた文字にも。


第二章 石板の文字が示す場所

石板の文字は大昔にどこかの少数部族が使用していた言葉に似ていて、ウィルナはその記憶からなんとか解読をする。するとその文字は方角を示していることが分かり、三人はその指し示す方向に向かってみることにした。しかしどこまで進んでも何もなく、数百キロ進むとやっと小さな村を見つけたのでそこに降り立つ。そこは狼獣人の村だった。

最初は取り合ってもらえなかったが、ウィルナが持つ人族の知識によってなんとか信頼を勝ち得て村に入れてもらう。


第三章 人類滅亡の影響

村に迎え入れられたウィルナ達は、獣人の悩みを解決する代わりに石板に関する情報を教えてもらうことになる。その悩みとは人族がいなくなったことによって、食料を手に入れることが難しくなったこと。この世界で農業など細かい作業は、ほとんど全て人族が担っていた。

もちろん狩りをすれば飢え死ぬことはないが、作物や調味料が一切手に入らなくなったことが問題。そこでウィルナが農業などのやり方を伝授する。


第四章 三百年前の不思議な男

狼獣人によると、三百年前にこの村に一泊だけした旅人の伝承がずっと残っていて、その旅人は「石板の交わる点に入り口がある」と言っていたらしいと知る。

ウィルナたちはその情報を得て、石板はもう一つあるのではないかと情報を集める。ウィルナが暇に任せて読んだ人族の本には載っていなかったということは、人族が足を踏み入れなかった場所にある可能性が高い。そこで他種族、まずはリーディアの伝手で精霊族の集落に向かうと、そこで魚人族の街に石板があったという情報を得る。


第五章 魚人族の成り立ちと石板

海を調査していると魚人族の大きな街を見つけ、ウィルナ達はそこで情報収集をすることに。その街は活気に満ち溢れていて、精霊など水中でも問題なく活動できる他種族も寛容に受け入れていた。

そんな街で、石板は隠されることもなく街の中心にある広場に設置されていた。この石板は魚人族に定住を促した人族の女が置いたもので、魚人族たちのシンボルになっている。


終章 石板が指し示す場所

二つの石板が示す方角に直線を引いて交わる部分は、深い森の中だった。三人はその場に行くが何もない。しかし詳しく調査をしてみると、ウィルナが岩を退けた地面に入口のようなものを見つけることができた。

その入り口を開き中に入ると……そこは、人類が作り上げた文明よりもよほど進んだ技術が使われた建物の中だった。ウィルナたちはその建物を調査し、この世界の外があることを知る。



二巻では世界の外に向かったウィルナ達が、なぜこの世界に魔力枯渇という災害が起こったのか、ウィルナは何者なのかなど、様々な謎に迫っていきます。

人類滅亡に追い込んだ元凶に辿り着き、この世界の構造も知ることになります。

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