ダストライト・サテライト

鬼鈴キウイ

第1話 起動

 目が覚めた。


 ということは、世界が終わったらしい。


 心拍数と血圧を確認し、ベッドを降りて長い髪を纏める。


 リストに書いてある関節を全て曲げてみる。動作に問題はない。


 壁に貼り付けられた世界地図には、九つの島が記されている。


 そして眠る前の地図にあった六つの大陸は、全て消滅している。


 中心より少し上の「生存街・地」という島に、赤色の丸が表示された。


 この丸は私、H-03の現在地を表していると、博士に教えられている。


 四隅に取り付けられたスイッチを順番通りに押すと、九つの島全てに一つずつ、桃色の菱形が表示された。


 この菱形は、博士最大の発明品、世界ネジの所在を表している。


 九つあるということは、博士の予測は完全に正確だったようだ。


 夜が明ければ、私の仕事は始まる。


 目を閉じて、復元された世界を思い描く。


 寝室の扉が開く音がして、瞼の裏が赤くなっていく。


 深呼吸をして歩き出し、変わり果てた地球に一歩目の足跡を刻んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る