第6話 彼の思惑 ※アーベルト視点

 アーベルトが婚約破棄を告げるという目的を達成した後、色々あったが結果的には満足しながら自室へ戻った。愛人のニアミーナを連れて。


 それから、彼女と楽しんだ。


「殿下ぁー、もう私を離さないでくださいよぉ」

「ああ、愛してるぞ、ニアミーナ」

「嬉しいですぅー!」


 ベッドの上で抱き合う二人。とても幸せな時間を過ごした。



 ニアミーナを新たな婚約相手にすることを両親に説明して認めてもらう。前の婚約相手は、酷い女だったことを告発して。


 アーベルトはニアミーナの証言が本当のことだと、信じて疑わなかった。その方が彼にとっても都合が良かったから。


 ニアミーナをイジメた罰を理由にして、マルクラム家の技術を接収する。あの家の技術力を我が物にすれば、王になった後も安泰になるだろう。早めに王となる準備を整えておく。


 自分が本当に愛した相手を王妃に据えて、誰にも負けない強大な力を手に入れる。計画通りバッチリだと、アーベルトは安心している。


 パーティー会場から逃げていったユリアンカも、すぐに捕まるはず。兵士に指示を出してあるので、目が覚めたら良い報告を聞けるだろうとアーベルトは考えていた。自分の行ったことを認めず逃げ出した罰も合わせて、彼女に償わせる。


 そんな事を考えながら、彼は眠りについた。

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