93作目:「知らない色を教えて」

 俺の見ている世界に色は無い。生まれつきの、目の障害だ。ずっとモノクロの世界で生きてきた。さして色など興味無い。そのままで良いはずだった。

「君、私の好きな色、知ってる?」

 知るはずも無かった。でも、知りたいと思ってしまった。彼女のせいで赤色がどんな色か、少しだけ分かってしまったんだ。

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