第26話 君は神を信じるか

 君は分からないと答える。


「きっと記憶が無いせいなのね。普通は『信じる』って言うものなの。神は平等に人々に慈愛に満ちた眼差しで私たちを見守って下さっている。私は確信を持って言えるの。何故なのか知りたくはない?」


 マリアの話に君は知りたいと答える。

 嘘はついていないと、そう思えたからだった。


「さっきも少し話をしたけど、私は神からのお言葉を受ける事ができるの。神託とも言われているけど、その内容で気になる単語があって知らせに来たの。そうしたら思わぬ収穫がって……ううん、これは別にいいの。そうね、シェルに伝えておいてもらえればいいの。それでブラウズ様にも届くでしょうから」


 マリアから聞いた内容は、確かに言った通りの単語ばかりだった。

 『明日、水、混乱、魔物、全滅』


 これだけだと意味はよく分からないけど、『明日、混乱、全滅』という単語で良くない事が起こりえるだろう事は君でも想像ができた。

 そして一番気になる『魔物』という単語だ。


 魔物はよくないものという事くらいの認識しかなかったため、どういうものかについて全く知らなかった。

 それをマリアに伝えると、彼女は快く答えてくれる。


「あら、魔物をご存じないの? 外に生息する魔物は人を襲うの。罪を背負った者の魂と言われているわ。つまり魔物は罪人なの。姿形は様々で小鬼ゴブリンという卑しい小人の姿をした弱い個体から、剣すら弾く堅固な鱗を全身に纏い、口から炎を吐くドラゴンまでいるの。神は人が背負った罪を赦す機会を与えてくれるの。それは何よりの慈悲だと、アッシュも思わない?」


 話の内容を聞いていると魔物は人を襲う敵という事になる。

 マリアが言った単語は明日大変な事が起きてしまうという事だ。


 君は立ちあがるとマリアから聞いた話をシェルに伝えるべく立ち上がる。


「待ってもらってもいい? まだアッシュの返事を聞いていないの」


 一刻も早くシェルに伝えようとするが、マリアの返事を蔑ろにする訳にもいかなかった。

 君はマリアの問いに返答を……。

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