第12話 家の中の会話

「家の中に戻りましょう」


 シェルは君にそう伝えると家の中に入る。

 慌てて君は後を付いて行く。


「アッシュ。そこのテーブルにある椅子に座っていて下さい」


 言われた通りに君は席に付くと、改めて部屋の中を見る。

 家の外見に比べると、この部屋は若干質素なように思えた。

 君は部屋を見ているとお腹を刺激するいい匂いがしてくる。


「この部屋は、少し地味だと思いましたか?」


 シェルが戻ってくるとそう言った。

 トレーの上にスープとパンを乗せて持っている。

 君は素直に頷くと、シェルは少しだけ笑みを見せる。


「アッシュは素直なのですね。スープとパンになります」


 君は遠慮なく頂く事にする。

 スープは飢えていた胃に少しずつ染み込み、活力が湧いてくるようだった。

 以前には無かった、肉や野菜類が入っていてより美味しく感じる。

 パンも外側はパリッとしていて中は柔らかくて、とても美味しい。


「アッシュが洗濯物干してくれている時に具材を入れてみました。今でしたら大丈夫だと思いましたので」


 君はお礼を伝えると、シェルは頷いて返してくれた。

 しばらく間、君が食べている音だけが部屋の中に聞こえる。


「食べながらでいいので聞いてもらってもいいでしょうか」


 君は頷くとシェルは静かに目を閉じる。

 まるで自分の思い出を確認するように。

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