このレビューを書いている現時点では、まだ第六話までの公開となっております。しかしそれだけでも描かれた作風及び世界観が、かなり独特かつ異質であり興味をそそられる内容に仕上がっています。
物語を取り巻く雰囲気は、噛みあわぬ歯車が軋む不協和音のようにどこか不気味であり、まさしく英雄堕ちというタイトルが如実に物語っています。
しかしながらそのような重い雰囲気も、剣士と魔法使いのダブル主人公の掛け合いによって程よく中和され、読み手もすんなりと読み進めることが可能です。
ダークファンタジーの宿題ともいえる、希望と絶望、生と死の揺れ動きが冒頭より押し出されており、この後どのような困難がふたりの主人公に降りかかるのかと読み手を揺さぶります。
時の女神とうたわれる存在は、はたして真に人が尊ぶべき存在なのかどうか……その答えはきっと、ゆくゆく語られていくことでしょう。
総じてダークファンタジーのみならず、どっしりとしたファンタジーを読みたいのであれば、いちど手に取ることを強くお勧めします。