ヒカリのヒカリ

てふてふまる

序幕


 神は問う。

「貴様……いったいどういうつもりだ!?」


 悪魔は答える。

「お前こそどういうつもりだ?」


 人間界と繋がるもう一つの世界「地獄界」で行われている「神と悪魔の戦い」

 

 2人のやりとりを期に、それは終わりを迎えようとしていた。



「なぜ……そうまでして私の使の邪魔立てをするのだ?」

「あーうるさい、ちょっと黙ってくれる?思い出したことがあった」

 神は満身創痍だった。その状態でようやくふりしぼった言葉を、悪魔は余裕の表情で遮った。


「オレとおまえ、どっちが強いかって話になったことがあってな?はみんな口を揃えて神が強いって言ってたんだわ。でさ、オレ自身も興味あったし、証明したいと思ったわけ。オレの方が強いってことを」

「そ……そんな理由で……貴様は!」


 神は、もうほとんど残されていない最後の力を振り絞り、悪魔へ向かって一直線に翔んだ。

 それを見た悪魔も、笑い声を上げながら不規則な軌道で、しかし着実に神へと向かって翔びだした。


「やはり貴様とは分かり合えぬようだな!今ここで貴様を倒し、使命を全うさせてもらう!これが私の……全力だ!!」

 神は全身全霊をかけ、魔法を唱えた。


「くらえ!天国への扉セブンスヘヴンズ!」

 

 神の唱えた魔法から現れた巨大な扉は、地獄界にそびえる山々をのみこむ程に壮大で、まさに神々しい輝きを放っている。その扉が開け放たれた瞬間、中から七色の閃光が悪魔目掛けて一斉に飛びかかった。

 

 それを嘲笑うかのように悪魔が唱えた魔法は、この世の闇を全て集約したかのように禍々しく揺らめき、その球体は神の魔法の倍以上はあるかと思える程に膨れ上がった。

 

死に逝く運命ヘルジャッジメント


 二つの魔法がぶつかった瞬間、辺り一面全てを照らす程の眩い光が、少し遅れてとてつもない轟音が、地獄界全体をのみこんだ。


 そして、決着の時を迎える。

 神は消えゆく我が身から、断末魔をあげた。

 

「あ……悪魔……め……」


「おう、オレは悪魔。オレに成し遂げられぬ事などない」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る