少年時代

沈黙は金?

第1話

 中学生時代にKという同級生がいた。彼は、初めの頃は勉強ができたという記憶が僕にはない。多分、成績は悪い方だったと記憶している。彼が勉強において開花し始めたのは、中学二年生の二学期頃からであった。その頃に、彼は進学塾に通い始めて勉強というものに力を入れ始めていたのである。なぜ、彼が勉強に力を入れなければならなかったかというと、彼の父親の職業は医師であった為、恐らく長男であった彼は家族から医師になることを嘱望されていたからである。必然的に、彼は勉強しなければならない環境下に置かれていたのであった。

 頭角を現し始めた中学二年の二学期から高校入試まで彼は、ひたすら勉強し続けたのであるが、その頃の彼には逸話が幾つかある。

 まず、第一にお風呂に入る時間も惜しんで勉強し続けたので異様なにおいをまき散らしていた。次に、休み時間も市販の有名な英単語のテキストを手にして必死に英単語を覚えていた。そして最後に、同学年の秀才Yと常に行動を共にして勉強の仕方について話していた。

 こうして、彼の成績は見事に上昇し続け高校入試の頃には名門進学校を受験できるほどの実力を手に入れていたのである。そして、全国にも名を轟かす有名進学校の合格切符を手にしたのである。彼の努力が実を結んだ瞬間であった。

 だがしかし、禁欲し続けた彼の中学時代の生活は高校時代の彼の生活に大きな影響を与えることとなった。やはり、何事も過ぎたるは及ばざるが如しである。

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