第2話 赤
私たちはかぼちゃの味を守る死神だ。
どんと胸を張って言う娘さんも後ろで小さく頷く親父さんも、糸目で、どう見てもかつらでしょとツッコみたいくらいのかぼちゃ色のアフロを頭に装着していた。
つーか。
親父さん、大丈夫か。
めっちゃ細い身体が左右に揺れているぜあのアフロに生命力を吸われてるんじゃないか。
「ハロウィンに先祖の霊と共に地上に来る悪霊の存在は知っているな。悪霊は人間だけに悪さを働くのではない。作物にも同様に悪さを働くのだ。それゆえ、私たちは作物を、おまえの家のかぼちゃの味を抜き取って無機質な味にしてしまう悪霊から守る為に毎年毎年毎年、来てやっているのだ。感謝しろよ。くそがき」
「………」
「ところで、年嵩の男はどうした?毎年毎年毎年、私たちに感謝のご馳走を自主的に用意してくれる感心なあの男は?」
「………」
じいちゃん。
珍しくばあちゃんの旅行についてったと思ったら、もしかしてこいつらから逃げる為だったのか?
けど。
うーん。
「まあ、毎年毎年毎年かぼちゃの煮つけしか出さないからな。いや、美味いのだけれどな。毎年毎年毎年はちょっと、来年は違うものを出してくれないかと去年少し提案したら涙目になっていたから気になっていたのだ」
あ、違うわ。じいちゃん自慢のかぼちゃの煮つけが飽きられたからショックを受けて顔を出さなくなったんだわ。
(2022.10.8)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます