追悼
アーエル
第1話
「さあや」
優しいママの声がする。
もう朝なの?
はやく起きなきゃ。
「おはよう、ママ」
そう言って飛びつきたいのに眠くて目が
そんな私に気付いているのか、ママが小さく笑ったような気配がした。
ベッドの端が小さな音を立てて沈む。
ママが腰かけたのだろう。
そしてママは半分眠っている私の身体を膝にのせて抱きしめてくれる。
そして小さな声で子守唄を口ずさむ。
「ママ、そんなうたを歌ってたら眠くなっちゃうよ」
そう口にしたつもりだったの。
でもママが歌う子守唄が続いている。
私の声は聞こえなかったのかなぁ。
「さあや、大好きよ」
「私もママのこと大好きだよ」
ママもパパもお姉ちゃんも。
学校のみんなも、先生も、お友だちも。
近所のワンちゃんも、ぴょんと脅かすように飛び出して振り向くニャンコも。
あおいお空を飛んだり、木の上でお喋りする小鳥さんたちも。
みんなみんな、だあい、す……き…………
「さあや?」
ママ、もっと歌って。
ママ、笑って。
ママの笑った顔が好き。
みんなが笑うおうちが好き。
ママ、ねえ。
もっともっとお話ししてね。
笑って、楽しいお話しして。
ねえ、ママ。
ママの心の中にあるさあやの
みんなのことを見てるよ。
さあやはこれからもみんなと一緒に泣いて笑ってるから。
だから、ね。
さあやに明るい世界をみせてね。
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今は閉鎖してしまったブログサイトへ投稿したものを変更せずに投稿しました。
もとは幼い娘を亡くした同僚に贈った物です。
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